（E017）

■１■E-015節で､地球の46億年を１年に圧縮してその大晦日に対応する１日を
見た。約260万年程前に始まった地質時代の区分における「第４紀｣は、この12
月31日にすっぽり含まれている。この「人類の時代」という意味の第４紀の最
後の１／260 に相当するのが、今から約１万年前に始まった｢完新世｣だった。

■２■この｢完新世｣の１万年は68秒に圧縮されているので、12月31日の午後11
時58分52秒からに相当する｡最終氷期であるヴュルム氷期が終わり､現在まで続
く間氷期が始まる｡この頃ようやく農耕牧畜が始まる｡グレゴリオ暦の紀元元年
であるイエス・キリストの誕生は、この圧縮年の午後11時59分46秒に当たる。

■３■西洋にルッサンスが起こるのは、午後11時59分56秒だ。そして産業革命
が始まるのが、午後11時59分58秒である。そして午後11時59分59秒、最後の１
秒で20世紀が始まる。この後は１秒の中のHz的な在りようだ。１年は0.0068秒
＝147Hz､１カ月は1790Hz､１日は53700Hz、１時間は128,8800Hzに逆対応する。



■４■この地球の46億年の歴史を圧縮した１年は、ゼノンの「アキレスと亀」
のパラドクスのように、どこまで行っても、年の瀬を超えては行けないのだろ
うか。古い暦を古い世界観を、否定することなくそっと置いて、新しい暦を世
界観を、そして新しい自分自身を未来へめくることはできないのだかろうか。

■５■いやそれは違う。｢完新世｣と呼ばれている最後の地質時代の区分は、最
終氷期が終わった約１万年前から現在までを指すが、未来をも含むという定義
だった事を思い出そう。｢歴｣は過去を指し、｢暦｣は現在と、そして未来を指し
ていた。地質学的区分の最後は、｢歴｣だけでなく｢暦｣も含んでいるのである。

■６■地球の過去の俯瞰の目的もまた、｢歴｣ではなく｢暦｣であったはずだ。20
世紀はもう終わっている。2013年とやらもとうに過ぎた。圧縮した１年も既に
新年に開かれているのではないか？ひょっとして生命圧縮暦の延長線上にある
今と思っているこの世界は、既に去るべき羊水の子宮の中なのかもしれない。



■７■時は満ちて、すでに新しい世界への子宮口が開き、子宮の収縮が始まっ
ているのかも知れない。産道に向かって私たちの精神は、すでに進み始めてい
るのではなかろうか。いや、そこまで大仰な比喩は不要なのかも知れない。新
しい暦を未来にめくるということは、存外簡単なことなのかもしれないから。

■８■｢何となく言わんとしていることは分かった｡では新しい暦をめくるには
どうしたらいいのだろう？責任を持ってそこまで教えてよ。｣｢いや、トイレま
では一緒に行けても、代わりに用を足してあげられないようにそれは無理…て
かもっと正直に言えば、私もどうしたら共有できるか分からないんだよね。」