irotama048

■１■東洋の色体系は、黒白・明暗などの個別化や相対化の現象を｢色｣といい仮象とみなす。色は暗黒に生まれて多様に展開し、暗黒に還る時空の系列と捉えている。自然とは対立せず、需要と適応の精神で、西方的な色体系も受け入れる。無は無限超越、暗黒は万象の根源として、永劫回帰の主客無限とする。

■２■西洋の色体系は、人間主義・主観主義の立場で白から黒、明から暗、黄や赤を第一とした。白や明を始原とし、それを色環の中心に据える色体系の原型がある。白は光であり神であり有であり、黒は闇・悪魔・無であり死の色であった。自然の無限性は人間には未知であり、神の光か知の光が必要になる。

■３■現在の色はどちらが良い悪いの時代は終焉を迎え、色体系が空間の｢理｣を表わすための客体性と主体性、現象と認識の統合場としての存在である。神との合一と自然との不二が対立せず、自らも創造に関与するという世界観であり、自らが色であり色を創出する大元でもあるという永劫回帰の主客無限だ。

■４■色の把握の系譜は哲学的に始まる。老子の言う｢玄｣は実体と現象の元であり、そこにはまだ色も数も存在していない。中国では世界を陰陽二元で捉え、五行と重ね、九星気学にも通じている。アリストテレスは『感覚論』で、色は白から黒への変異の間に生まれる(白<黄･赤･紫･緑･青>黒)と表わしている。

■５■ダ・ヴィンチの絵画論では、<白･黄･緑･青･赤･黒>の６つの単色として取り上げる画面構成である。ショウペンハウアーは『視覚と色彩について』の中でニュートンを廃し、ゲーテを讃えている。カンディンスキーは、色彩は直接魂に影響を及ぼす力であり、魂は弦を貼ったピアノであると表現している。

■６■純粋に科学的な系譜の始まりであるニュートンの『光学』に対して、ゲーテの『色彩論』では生理学･心理学･現象学的など複合的なアプローチがなされている。さらにヤングの色覚説、ヘルムホルツによる生理学を経て、電磁波説のマックスウェルの物理学が、光の３原色である<青･緑･赤>を定位した。

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(※) 画像は「ルボーblog」より借用・加工。内容も参考にさせてもらいました。

rewitten on 20240419 Friday