036:回転する正20面体と正12面体

■１■「右回転か左回転か」の区別がつかなくなるという地上二元論的な視座の錯視を超えて、宇宙空間を模した黒い空間で自在に回転する綿棒多面体を見詰めながら「回転しているのは対象なのか、自分の視座なのか、双方回転なのか、双方不動のままなのか、そもそも回転とは何なのだろうと自問してみる。

■２■自分もモニターも動かずに２次元平面上の動画を見ているだけなのに、この知覚と意識の間に生じている混乱と錯綜は何なのか、全てはただの錯覚なに過ぎないのではないのかと自問している思考に、過去の既存の組み合わせで安心しようとしてしまう怠惰な慣性を許ず、ただ体感してみようとする気概。

■３■ただしやり過ぎや思い込み過ぎもまた不健康の方にはみ出しやすいのでほどほどにしつつ、半歩ずつブラックライトの向こうの闇へと進んでみる。それは未来の方向なのか、その行為すらコロガリズムに踊らされているのか。作者もまたただコロガリズムという「言葉」に転がされているだけなのか(笑)。

■４■１辺が同じ長さの正20面体と正12面体を、これまでは５芒星を組み合わせた綿棒多面体「星の間」から生じる黄金比を介して接続していたけれど、今回は綿棒多面体の内側にある正20面体と外側にある正12面体の接続を、５本が集まる頂点にさらに５本を接続させるのでなく「合掌造り」で接続してみた。

■５■「合掌造り」とは、19：20で象徴される正20面体の１辺と外接球半径のずれに加えて、例えば５角錐の頂点同士を１点に集めようとする時、１点に10本分の綿棒の頭が接する部分が、もはや綿棒部分の凝縮では埋めきれない点領域の膨張を、５本ずつ集まる頂点をずらして交差接合させる方法のことだ。

　
　
■６■５本ずつ集まる綿棒を掌に喩えて、それら２つが手の甲の１点で接するのでなく掌で１つに合わせるという意味合いからのネーミングだ。他にも長身側から垂直方向に立てるとそこに集まる線が届かなくなるのを調整するために、線の集まる中心を少しだけ飛び出させる「頭だし」という技もある。

　　　　　

■７■この必要に迫られて生み出されたこの技は、個人的には最初「乳首出し」と名付けたかったのだが、自己躊躇の末却下した。乳頭温泉行きたい！とか乳房は全体があってこそ乳首出しはエロいのだと、脳内で抵抗してみたものの自己規制。そんなちょいエロＯＫのコロガリズムはどこに行く(笑)。

2020.04.20 Monday