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■１■鶴舞線５時35分発上小田井行に乗り、伏見で東山線高畑行に乗り換えて本陣下車。そこから約２km西に歩き、庄内川を越えて新川を跨ぐ萱津橋の袂に到達。今日はここから新川の西岸を南下するのだ。今朝は起きるのが少しだけしんどくて、この歩行そのものがマンネリに堕し掛けていないかと自問した。

■２■ノルマや趣味としてこなすものではないので、ただの身体的活動や健康保持のためでなく、個として種として人間として歩くということを生きるということに重ねるつもりで進むこと。体の各部位に対して、以前より注意深く意識を向けてみた。感謝の気持ちが湧いて来た。より丁寧に体と接し扱うこと。

■３■橋の上から見たら進めそうだったので、川岸の雑木林に突入したのだが、そこには人のはなかった。身を屈めても横枝や高い下草で中々進めない。頭から突っ込むようにして強引に進むが、ついに立ち往生状態に。未明の暗い川岸の雑木林が突然怖くなった。目の前に突然古井戸が出現する。えっなぜ今？

■４■朝、人として人間界とより親和性を持とうと決めたのに、なぜ人外へ？黒い水面も怖いので、逆側の丘側斜面を半分滑り落ちながら登る。体は奇妙な動きさえしなければ恐怖していない。疑似平静で心的平衡を保持する自分の反映である黒い小森を何とか振り払い出ると、そこは小さな神社の境内だった。

■５■堤防上に出て道路を歩くのだが、高速で飛ばす車ばかりなのに歩道もない。道を渡るのすら命懸けだ。これもまた物理的に怖い。川岸も堤防上も歩く道がない。詰んだ。橋桁近くは整備されているが、すぐに道は消える。無謀と慎重のバランスは重要と思いつつ、川岸の道と住宅街の道をジグザグに歩く。

■６■万場小橋で東岸に渡ると、川岸の道には殆ど車が走っていない。満潮だからだろう、川面の浮遊物がどんどん上流に向かって行く。川岸には栴檀だろうか、黄色い実をびっしりつけた樹木ばかりが植わっている。風もないのに木の葉が散るのを見て心が動く。ここは春に歩いた道だ。違う景色が懐かしい。

■７■河口近くの宿命だろう、両岸とも川上から流れてきたゴミや芥がやたら目に付く。その真ん中を浮遊物がゆっくり上流に向かっていく。それでも景勝地でも名所でもない川岸の一角の秋の今が美しい。美しいと感じるのは、同じ比率や振動でできたもの同士の間の、内と外との一種の共鳴現象なのだろう。

■８■JR関西線の踏切を渡り、伏屋橋を過ぎると川岸の樹木がなくなり、通勤客が駅に急ぐ姿が増えてきた。近鉄伏屋駅で帰路に就く。今日まで気づかなかったが、小奇麗なこの駅は無人駅だった。８時台の桜通線名古屋駅はホームから人が溢れるほど混んでいた。すみません、太閤通まで逆乗りで帰りました。

20251125 Tuesday