■１■４時25分、自分という意識が目覚める。同時に(自分にとっての)自然の意識も生まれただろう。自分の認識できる世界の１つ１つのものとことに、そこにいてくれて有り難うと感謝の念が湧く。気温４℃、体感温度２℃。えらい寒さだな。４時50分､御器所交差点から山王通を西方に1.5kmをひたすら歩く。
■２■名古屋高速環状線に交差したらそこで右折し、ずっとその下を平行して走る空港線に沿って昭和区･中区･東区･北区と北上する。この<空港線>という名は､1984年に名古屋市が愛称を公募して付けたらしい。この空港は中部国際空港セントレアでなく、名古屋市の隣の春日井市にある県営名古屋空港のことだ。
■３■鶴舞駅前の交差点は変則的な５差路で、JR中央本線と高速環状線の高架線が交差し、その地下を地下鉄鶴舞線が通り、さらに歩道橋が交差点を跨ぐ形で交差していて実に複雑だ。片側３車線のまま名古屋市内を南北に貫く空港線をひたすら歩き、地下鉄東山線と桜通線を越え、名鉄瀬戸線清水駅も過ぎる。
■４■名城線黒川駅に着いてから、歩数合わせを念頭にルートを決めるつもりだったが、北区役所交差点手前で斜めに横切る水路があった。名古屋城と名城公園の北を回り込んで矢田川と庄内川の取水口まで、これまた真っ直ぐ流れる堀川だった。直進か、ここで進路を変更して川に沿い上飯田まで行くべきか。
■５■帯に短し襷に長し…じゃなくて、歩数が黒川では足らず、上飯田だと余るのだ。水辺歩きに惹かれて後者を選択する。空港線の車の流れも堀川の水の流れも共に一直線だ。今日はそういう日なのだろう。実はこの東岸は１度辿ったことがあるので、今回は西岸を歩くことにした。夜の闇が少し明けてきた。
■６■空がまだ暗い夜明け前には、街中もよそよそしく感じるし、たまにすれ違う人もどこか異生物のように思えるが、明るくなってくると街角が鼓動を始め、人々も人間味を帯びて見え始める。視覚的明暗のみでなく、もう少し大きなものの巡りによっても、自分という意識に自己他者関係が染み込み始める。
■７■1.5kmほど歩くと、長さ(13.5ｍ)より橋幅(17ｍ)の方が広い瑠璃光橋がある。瑠璃光ってかっこいいなと思って調べたら、この橋の真南に瑠璃光町があり、その南端に曹洞宗の成福寺がある。町名も橋の名前もこの寺にある瑠璃光薬師如来に由来するようだ。なお薬師如来の正式な名称はこの名らしい。(※)
■８■この橋から真東に500ｍ進めば地下鉄上飯田駅に出る｡この駅と名城線平安通駅を結ぶ上飯田線はわずか800ｍで、日本最短の地下鉄路線だ。駅についてつい気が抜けて､直結する名鉄小牧線の逆方向に乗って味鋺(あじま)まで行って戻る一幕もあったが、無事御器所に着く。気温４℃。ておい､変わってないぞ。
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(※)京都の左京区には紅葉が美しい光明寺瑠璃光院があった。そういえば石川県の山代温泉には瑠璃光という温泉宿があったし、長野の山田温泉風景館には瑠璃洸泉という浴場があったな。
20251120
Thursday
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