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■１■何が私をして歩かせるのか。今日は｢塩付街道｣を歩くことにした。そもそも塩付街道とは何かから語り始めねば。かつて海岸だった名古屋市南区では古くから製塩が盛んに行われており、塩は星崎から御器所の台地を経て東区古出来町辺りまで馬で集められ、そこから信州や美濃に運ばれたという古道だ。

■２■猫々ハウス前の道は塩付通と言うのだが、昔戯れに読んだ石仏村の地誌に｢本当の塩付街道は別のところにある｣という老人の弁が載っていた。そして昨日グーグルマップを見ていて、当家マンションと猫々ハウスの間にある細い道が｢塩付街道｣であり、南と北双方にかなり辿れることに気づいてしまった。

■３■午前４時半､11℃､体感９℃。塩付通の１本西にあるマックスバリュー横の細い道路が由緒正しき塩付街道今の姿だった。これを道なりに1.5km進むと、汐路町で１本東の裏道になる。そういえば汐路という地名も汐の路だな。競技施設が沢山ある瑞穂公園で一度途絶えるが、新瑞橋近くの細道で復活する。

■４■確かにグーグルマップには、桜通線の走る名古屋環状線に並行する裏道に塩付街道の名が記されている。そして桜本町十字路近くまで来るとその名はふっつり途絶える。先日猫供養に歩いて訪れた長楽寺動物霊園や、名鉄星崎駅やJR笠寺駅もそう遠くない。だがもうそれらに対する意味や見方は変容した。

■５■しかし今日はここで終わらない。桜本町で地下鉄始発に乗り、新瑞橋で名城線左回りの始発に乗り換えて10駅。ナゴヤドーム前矢田駅で下車して、名古屋環状線を古出来町交差点まで南下する。塩付街道の道筋はこの辺りまでが辿れている。ここから今日のパート２として塩付街道を歩いて南下するのだ。

■６■裏道を600ｍほど南下すると千種公園があるが、その途中から１本東の裏道に、塩付街道の名前があるのが見て取れる。その道をさらに南下すると地下鉄東山線が走る錦通りに出る。この辺りで道を見失うが広小路通を越えて３区画東の裏道に、直交する町の道々にお構いなしで塩付街道が出現している。

■７■流石に水分も取らないままいつもより多くの距離を歩いているはずだが疲れはない。そうこうしているうちに｢なんや｣のＹ字路に辿り着き、さらに斜めに続く道を歩き進むと、最初のスタート地点だった当家すぐ傍に辿り着いた。交通機関で両端をワープして繋ぎ、１本の道を辿り進む新しいパターンだ。

■８■舗装され整備もされた同じ名前の今の道を辿るだけで、過去の人々の生活や心根の残像や残響に自分を重ね合わせられたとは思わないが、それでも３次元的な日々の生活に直交してくる何か、に僅かなりと触れた気にはなれる。他に誰を巻き込むこともなく、ひとりよがりのまま歩き続ける不思議な道筋。

(※)思ったより歩行中に思いめぐらせた物事や記録が多かったので、後で改めて続きの文字列を立ちげるつもりだけれど、取り敢えず風呂に入って飯を食うなり。

20251114 Friday