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■１■午前４時半､気温８℃､体感６℃。御器所駅交差点から西にスタートし、４つ目の角を左折。そこから昨日の道筋より150ｍほど手前を今日もほぼ道なりに2.5kmﾎほど南下する。暗い街中を一人進むと、目覚めしなの自己他者問題についての妄想像の続きが沸き上がってくる。頭上には月齢21の半月と木星。

■２■闇の中で故人たちが語りだす。河村悟は｢あなたのあなた｣といった。ホゼ・アグエイスはマヤのイン･ラケチを"I am another yourself"と訳した。マルティン・ブーバーは｢我と汝｣｢我とそれ｣を語った。そもそも日本列島と日本語には欧米的な人称の概念や自己他者問題はなかった。原罪？冗談じゃない。

■３■自己他者を語るなら、身体を介さないメタ視座の現状否定から入るのでなく、それだけではないという形で｢内なる自己他者と外なる自己他者｣、あるいは｢個としての自己他者と種としての自己他者｣を下位と上位と同一の次元から展開してほしいものだ。夜の町を歩く時夜が汝で私は町、そしてその逆も。

■４■誰もいない町の祠からギーッギーッと音がする。｢すわ、怪奇現象？｣と身構えるが、｢大薬師祭｣と書いてある大きなのぼりが上空の風に吹かれて軋んでいる音だった。妖怪博士甲田の烈っつあん、今度怪異現象が自己他者問題に落とし込まれた時霧散する件について話をしよう。おっと大喜町の交差点だ。

■５■右折して直進し、都心環状３号線をくぐり新堀川を渡る。朝の散歩か朝帰りか、カップルのはしゃぐ声。取り敢えず良かったね、その声の振動。ここは花表町なのか。何か綺麗な名前だな。名鉄神宮前駅に突き当った。陸橋で線路を越えれば熱田神宮だ。歩道橋を渡り、神宮駐車場から境内にエントリー。

■６■早朝の参拝者が静かに歩いている。おはよう1900年の歴史、おはよう通りすがりの人。ものにも人にも世界にも自然に挨拶をし、感謝できるところ。～だから～すべきという思考パターンも笑って過ごす。世界と自分は二而不二だよね。自分、自然、自ずから…。｢自｣は鼻の形からできた象形文字なのか。

■７■ありがとうね熱田神宮、ありがとうね出会った人たち。この終助詞｢ね｣の親近感。丁寧にお参りしてから西に抜けて、国道19号を北進する。途中夜寒町にあるＹ字路を右に入れば、そのまま金山駅に続く。夜寒の里は歌枕にもある。古代の熱田神宮は左右を海に面した高台の端で、さぞ寒かったのだろう。

■８■単なる比喩でなく町が目覚めていく。金山駅はもう混んでいた。名城線右回りに乗り、上前津で鶴舞線に乗り換えて御器所に着く。地上に出たら６時30分を回っていた。７℃､体感５℃。そして万歩計は10394だった。出来過ぎかよ。｢おかえり御器所｣…あ、帰ってきたのはこちらの方か。自己他者問題。

20251112 Wednesday