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■１■雨が上がった。13℃か。早朝にしても寒過ぎだろう。今日は長袖にしよう。突然水際を歩きたくなった。街中歩行もいいが、やはり広い河原のある風景の中を進みたい。取り敢えず桜通線で名古屋まで出て、名鉄名古屋線で２つ目の東枇杷島で降りた。車内で夜が明けた。枇杷島橋を渡り、庄内川を下る。

■２■空の晴れと曇りの際がうっすら朝焼けで輝いている。刻々と移り変わる朝焼けと青い空を見上げつつ河畔の遊歩道を一人歩いていると、その美しさに圧倒されて、自分はこのまま死んでしまうのではないかと思う。もちろん死にはしないが、歩く身体の心地よさと情動に似た情緒の飽和で瀕死状態になる。

■３■10代の頃、｢空が青くて死んじゃいそう｣と泣いていた女の子がいた。井上陽水は｢青空、ひとりきり｣と歌った。爺ぃに成り果てようとも、それらを今でも少しは分かる。自己中の世界観を｢ひとりよがりの王国｣と呼んでいた。だが今はそれを反転した世界を持つ身体と捉える。内外反転はＢＯＢに任せる。

■４■鈴鹿山脈の北端だろうか、立ち上る雲で上半分が浮いているように見える。何気ない一言でも他者には呪文となることもあるので極力大袈裟な表現は控えたいが、今ここに道があることが喜ばしい。道を作ってくれた人たちに感謝。跡形もないけれど、時が積もり在るこの若い信長や藤吉郎も遊んだ辺り。

■５■感性は歳を取れば鈍り、若ければ未熟なままだ。では完実するのはいつなのだ。20代､30代､40代…？それはいつもだ､いつでもだ。｢いつもいつもとは今のことです。｣狂気に飲みこまれないための､1985年のＢＯＢの呪文。問題は｢今｣とは何かだ。禅問答でなく今について今考えること。今とは生きること。

■６■今この時代に日本と言う地で生命を保持し、情と理を併せ持つ日本語空間で身体と共に表現できることの至福と不思議。それを通奏低音と捉えれば、個々の悲惨や苦悩は贅沢な楽しみでもあり、高圧的な陰謀論や欧米的な権謀術数の海で泳ぐことすら、豪奢な愉楽とも見て取れる視座を妄想像できるのだ。

■７■川岸で一人釣りをする人がいる。ほぼシルエットのまま動かない。一体何が釣れるのだろう。私は頭の周りで多くの言葉と句が釣れた。ほとんどはリリースした。いつでも辞世の句を口にする心境でいたいけど、それでもこんなに無様に文字列が残っている。美とは何だろう。今は生命の共振と答えたい。

■８■万世大橋まで来たら数が満ちた。数は目的でなく目安だと自得しているが、近鉄伏屋駅まで行かず、ここで左折しﾃ八田駅で帰路に着こう。結局矢田まで13000歩余りかかった。矢田にはＪＲと地下鉄東山線の駅があるが､後者を選択。今池で桜通線に乗換えて御器所に帰還。初めての駅のような気がした。

20251023 Thursday