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■１■４時半、久しぶりに傘を持って外に出る。日本の街角はどこに行っても街灯がある。降った雨が路面を濡らし、いつもより涼やかだ。今夏の絶え間ない猛暑を思えば、この上なく心地良い。またいずれ来る冬の寒さをイメージすれば、Ｔシャツ１枚で動ける今が健やかすぎる。いつも巡る天候は有り難い。

■２■今日は御器所から山王通の３本裏筋を通り、八幡山古墳横を回って鶴舞公園を抜け、あとは大須通を道なりにひたすら歩くのだ。しのつく雨も上がった。心地よい時は心地よささえ忘れて眼前の問題に引きずられる。だが現今の心地良さに意識を向けられれば感謝が生まれ、体と共に心地良さを味わえる。

■３■今に集中しないと今が疎かになる。しかし今だけに囚われると視野狭窄になる。歩行もそうだ。眼前10メートルに目を瞑ればけつまずく。しかしそれでいいのだ。今を味わいながら、それでもそこをはみ出して行く。我々はそのようにできている。｢そこ｣と言ってる時点で視座前提は既にはみ出している。

■４■雨が上がったのに傘をさして散歩するおばあさん。決してUV対策ではなく。雨上がりの大地の上で、今日はおとなしいカラスたち。ダブルスタンダードでなくデュアルスタンダードを、正４面体に重ねて考えてみる。次元の異なる２つの論理領域を、平面で重ねることなく直交させる２階４値の論理思考。

■５■何十年も思考し続けなければ転がらない論理思考は古臭さも感じられる。その努力は尊いし、全体の中でも必要だろう。しかし自らの斬新だった思考に囚われ過ぎて、今の世界ではもう古いのかと自問することを恐れるな。周囲に若者や子供がいない環境の中だけで、長年考え続けると老いに気づかない。

■６■若者は自然に高齢者には気を使ってくれるので、20年30年前は新進気鋭の思考集団だったものが、年経て爺婆のお達者倶楽部へと変わり果てかねない現状に気づき難い。もっと十代二十代と対等に触れ合わねば。自らの中途な業績を若者に継がせようとして負荷を与えるのは老醜ではないか？自問せねば。

■７■内と｢外｣を反転させようとして、安易な軒下で｢ヒ｣と｢ト｣を掛け間違えると｢死｣に足元を掬われる。言わねば大ゴトになると、コト中れ主義に小ゴトを言う老人。…いや気にせずに、単なる言葉遊びだ。それより問題はJRをくぐり運河を越え、最後の最後で太閤通駅へ向かう曲がり角をロストしたことだ。

■８■また雨が落ちてきた。傘の有難さを思う。近鉄の黄金駅界隈をうろついた後、ようやく太閤通駅へ続く黄金通を見出した。道を見出した後は、迷い道も楽しい記憶だ。通りを１.25km程直進してようやくゴールに辿り着く。｢思考の爺ぃ問題｣も道が尽きたらそこで終了だ。まずは自らが若返る必要がある。

20251016 Thursday