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■１■４時半、未明の闇の中を歩きだす。私に詩の存在を教てくれた吉須千吉。詩人の生き様を示してくれた河村悟。共に画数の少ない死人に転じて久しい。彼らを見送った人たちを知っている。詩人の詩についての語りには興味がない。詩人の詩からは遥かに離れたまま、詩人の生き方が詩なのだと強く思う。

■２■奇しくもどちらのイニシャルもＳ.Ｋ.だ。夜明け前の闇の中で彼らと巡り会う。彼らは何も語らない。しかし夜の闇間は饒舌だ。彼らはヒトになる。個人的に苦手な霊的表現でも比喩表現でもなく、私人の妄想像として捉えてもらえれば気が楽だ。想起する過去のやり取りは今では色変わり記憶は曖昧だ。

■３■1990年代の初頭、｢ヌース理論が完成したら世界は終ってしまうね｣と河村悟氏はＢＯＢに言った。まだヌーソロジストでなくヌーシストだったＢＯＢは｢それでも完成を目指します｣と言った。ホゼ系のマヤ暦を日本に持ち込んだ高橋徹氏と情報交流する前から、彼は2013、2026、2039年を重要視していた。

■４■2013年でマヤの13バクトゥン周期が終わることは知っていたが、2039年の方は巷ではヒトラーの予言で人類が完全に２極化する年であり、またケネディ大統領暗殺事件の公文書が公開される年でもあった。前者は五島勉の世紀末オカルト本がベースの話らしく、後者は前倒しで既に機密解除がされている。

■５■若い女性がチョッザップに入って行く。まだ５時前だ。街の色合いも変わり始めてる。ＢＯＢは後に2039年を2037年に前倒ししたが、当時は未だ40年以上先の未来の話だった。しかし今考えると2026年はもうすぐそこだし、2037年は今年を入れてもあと12年後のことだ。シンギュラリティのすぐ向こう側。

■６■モノローグでもダイアローグでもないメタローグ。物理的な空間表現では正しくない比喩的表現だが、頭の周りにある言葉にならないが確かに何かが熟して腐り始める前に、それらを摘まみ上げて口にする。その途端それは音と形のある言葉になる。言葉のなれ果てはまた言葉の生まれる界面でもあった。

■７■ヌースがヌーソロジーとなり、その完成目標は15％達成できれば良いとトーンダウンしたらしい。言葉が生まれる領域は似ていても、人間側の文脈質によって言語は異なる。詩人たちは日本語空間にいる自覚を強く奨めている。空が白み始めて、鶫が鳴き交わす。脳内言語だけでは眼前風景は伝わらない。

■８■いつのまにか詩人のヒトたちは消えた。夜の闇も失せた。人影も顔を持った人間になってきた。今日もトンネルを掘る。トンネル同士の開通の日はくるのか。名古屋駅が見えてくる。柳橋中央市場の通りを抜け、桜通口から駅構内に入る。洗面所で着替えてから地下鉄に乗る。昨日と同じ６時２分だった。

20251015 Wednesday