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■１■目が覚めてアナログの時計を見る。午前４時半…起きるか。起きてトイレに行き、顔を洗って部屋に戻ると時計は３時半を指していた。はい？１度も使わない目覚まし用の赤い針が４時半の位置にあった。見間違いだ。窓の外はまだ真っ暗だ。どうする？寝直しても多分眠れない。部屋をかたずけて出発。

■２■先日は１本の裏道を途中で途絶えることなくずーっと道なりに辿って行けたのが嬉しかったので、今日もできるだけ道なりに歩いてみよう。文庫本サイズの地図を見て、御器所から山王通の１本裏路地の道を辿って西進しようと決めた。終点はＪＲ名古屋駅か地下鉄太閤通希望だけと、未知なり最優先で。

■３■なぜ未明に歩くかの謎の自問自答の答が｢未知なる未来のために｣だった。突然、未知なる未来とは今この瞬間のことなのではないかと閃く何か。未知は未来にだけあるのではない。過去にもある。そして今の未知はそれらとも繋がっているのでは？待て待て、今日は極力考えないで歩くと決めた日だった。

■４■都心環状高速を潜り、ＪＲ中央線のガードを抜け、新堀川の宇津木橋を渡り、いい感じで道なりに進み続ける。国道19号に行き当たり、信号のあるところまで迂回するかと思ったら、すぐ近くに歩道橋があった。さらに進むと突然そこの商店街が全開で明るく賑やいでおり、左右に車が沢山駐車している。

■５■５時前の街中でよもやの雑踏だ。看板を見ると生花市場の店々と仕入れの人達らしい。沢山花を積んで次々と車が出て行く。立ち尽くすと邪魔になりそうなので、足早に通り抜けたが、あんなに大量の生花が次々と売買されているのを始めてみた。それにしてもこの道なり歩きは真直ぐのまま途絶えない。

■６■堀川の日置橋を渡り、都心環状４号を潜り、名駅通りを跨ぎ、名鉄とＪＲのガードを抜け、さらに中川運河を猿子橋で越えるとJR関西本線に行き当たった。ついにこれで終わりかと思ったら大きな跨線橋がある。ままよと渡ると、駅西側に抜けられた。名古屋駅周辺の高層ビル群が見えた。まだ空は暗い。

■７■線路を跨いだ後も道なりに歩いた。最後に１回だけスマホで検索した。なんとこのまま進めば直ぐに太閤通駅だった。ドンピシャ。始発後の２番電車に乗る。御器所に着いて地上に出た途端、街路灯が一斉に消えてハッとした。ああなるほど、６時ちょうどに消灯するのか。25年居て初めて気が付いたよ。

■８■何もないけれど朝から満足だ。足るを知るということ。現状に仕方なく甘んじるのでなく、在りのままに感謝と共に満ち足りること。しかもさらに現在を望む方向に変え行く努力すらできる自由もある。未知なる未来というこの今。何も分からないということも分かったら楽しめない。無知をも楽しもう。

2025101 Monday