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■１■歳を取るということは耄碌するということだ。耄碌とは感性が干からびて行くということだ。気づいても謙虚になるだけだが、気づかないままだと周囲の人たちにどれだけ助けられているかに想いが至らない。もはや役に立たない過去の細やかな成功例を胸に掻き抱きつつ、その再現を未来に夢見ている。

■２■弱さを見せまいと虚勢を張るのは傲慢に見え、基本的に自他を生きるのが好きな人は謙虚に振舞える。｢人間の思考の殆どは大したものではない｣というフレーズを聞いて、前者は｢そのフレーズそのものも大したことがない｣と切捨てるが、後者はその真意を共により深く堀下げたくて好奇の笑顔を向ける。

■３■文句を言うのは甘えているからだ。文句を言えること自体と言える相手がいること自体の幸運を噛み締められる者は、まず他者や社会があること自体に感謝できる。自らの甘えを否定することなく、甘え方と甘えそのものを上手く捉えられるなら自らの甘え方が変り、結果として他者や世界も変わりゆく。

■４■｢いつ死んでも良い｣という心構えは、実際にひょっとしてこのまま死ぬかも知れないという思いを通過して初めて、自らの死と生を真剣に考えられる。｢生きながらにして死後の世界に入って行く｣という名言も、聞く者が概念言語としてしか捉えられないのは、老死を想像できぬ若者のように幸せなのだ。

■５■｢世界は宇宙人に満ちている｣と二十歳前は感じていた。｢社会人｣という言葉もまた宇宙人の一種であり、｢成人｣すると色々な｢社会星人｣に振り分けられるのだと考えていた。お前の方が｢出来損ない星人｣だと言われかねないが、自分は日本人で地球人ではあるが、今まで１度も社会人になったことがない。

■６■｢学生｣という言葉は明治時代に英語の<student>の訳語で高等教育機関で学ぶものに限定されたが､古くは学問をする者全般を指していた。学生はやがて研究者か社会人になるのが普通のようだ。学ばなくなったら知のゾンビに変ずる。学習能力は低いかも知れないが、個人的には一生学生でいるだろう。

■７■ベジタリアンにも色々な種類があるが、その存在自体が他者の食に対する捉え方を考えさせてくれる。しかしあまり声高にその考え方を他者に押し付け過ぎるのを見ると辟易する。動物を食べるのは悪くて植物を食べるのは良いとする発想の傲慢さと、命に感謝しつつ食卓上のものを有り難く頂く姿勢と。

20251009 Thursday