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■１■昭和は64年までだ。昭和の始まりは1926年12月25日だから昭和元年は僅か１週間であり、また昭和64年も１月７日までだから、正味太陽暦62年分の前後に７日ずつ付けた日数に等しい。つまり７日＋62年＋７日と言う構造だ。昭和の中心を取ると昭和32(1957)年７月２日<KIN240黄色い律動の太陽>になる。

■２■｢川の流れのように｣という曲がある。昭和の歌手美空ひばりが1989年１月11日に生前最後のシングルとして発表したものだ。昭和天皇の崩御後、つまり平成になってから僅か４日後にリリースされた曲であり、美空ひばり自身も同年６月24日にカレンダーラウンドの18980日の52歳(＋26日)で他界している。

■３■川の流れのように流れる歴史の中でも、1989年はかなり重要な年だった。中国では北京で天安門事件が起き、ベルリンの壁が崩壊して冷戦が終結した。個人的には２月９日に漫画家の神様である手塚治虫が他界し、６月24日には経営の神様である松下幸之助が亡くなったのも印象深い。昭和の神々の退出。

■４■｢人は同じ川に二度と入れない｣と言ったのはヘラクレイトスだ｡｢ゆく河の流れは絶えずして､しかももとの水にあらず｣は、鴨長明の『方丈記』の冒頭部分だ。それでも同じ｢川｣として認識できるのはただ｢名｣があるからなのか。万物流転は流転しないし、諸行無常も無常ではない。全て違えば全て同じだ。

■５■1990年代にレクチャーで、多面体の要素の面･点･線を念頭にしつつ「Ｍ→Ｔ→Ｓの次は何でしょう？｢と言ったら、福岡から来た女性が手を上げて｢Ｈです｣と言った。｢その心は｣と問うと､彼女は｢明治･大正･昭和の次は平成です｣と答えた。答は｢胞｣で正解なのだが、大喜利的に話題をみな持って行かれた。

■６■まだ幼い令和生まれの子供達が平成を挟んで昭和生まれの人達を見る目は、約30年と約15年という違いはあるが、大正を挟んで明治生まれの人達を見るのに似ているのだろうか。２世代分はある60年余の昭和に生まれた人たちを一括りに｢昭和生まれ｣と見るのも、当事者でなければ違和感もないのだろう。

■７■ローマのバチカンで次の教皇を決めるコンクラーベのニュースを、日本の元号の変わり目とは全く別次元のものとして見ているが、根競べの駄洒落と共に、塩野七生さんのイタリアを舞台とした著作で、ボルジア家のバチカンへの食い込みやチェーザレとルクレツィアの兄妹話に耽溺した昔を思い出した。

■８■吉祥寺でＢＯＢが脳変して前世を語り始めた時、私の前世はヴェネツィアで15歳で死んだと言われた。その時は『海の都の物語』を読み、ヴェネツィア舞台の少女漫画を描いたのでそれを掬い取ったのだろうと思った。矢野健太郎氏の仕事場で聞いた谷山浩子さんの『川のほとりで』が耳元に流れて来る。

20250508 Thursday