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■１■｢しあわせ｣の語源を辿ると、室町時代の｢しあわせる｣という言葉に行き着く。この｢仕合わせる｣という言葉は元々「動作が合う、巡り合わせ」という意味で、そこに良し悪しを付けて｢しあわせが良い・悪い｣としていたが、江戸時代以降に｢しあわせ｣だけで幸福状態を表すように変化したといわれている。

■２■｢幸｣という漢字は手かせの意味だという。検索すると分かるが、人が囚われて手かせをされている姿を象形したもので、刑罰の手かせをまぬかれた状況から幸せや幸運という意味を持つようになったとある。まず手かせで驚き、またそれからの解放が幸せの意味になったという下りに本当かと疑念を持つ。

■３■最古の漢字字典『説文解字』(紀元100年頃)には、｢幸｣は早死に意味する｢夭｣と逆らうという意味の｢?｣から成るとある。つまり｢幸｣とは死に抗うことを表わしている。なお手枷を表した象形文字には｢幸｣とは別の｢?｣があり、『玉篇』(543年頃)によれば漢の時代以降｢幸｣と｢?｣が混同されたとのこと。

■４■また『字源』には｢犬｣と｢矢｣の上下顛倒形とから構成されるが、その造字本義は不明とある。｢?｣＋｢夭｣と説明されているが、篆書の形を見ればわかるようにこれは誤った分析であるとも。他にも諸説相反があるが、個人的見地では全否定も全肯定もせず、判断の余地を残した仮説として捉えるべきかと。

■５■最近はネット検索でもAIが簡単にまとめた答が出てくる。個人的な疑問や問い方が偏っているのが大きな理由ではあろうけど、殆どの回答はそのままでは使えない。現時点でのAIの性能というより、それを構築する人間の調整のせいなのだろうが。それでも｢幸せ｣を検索することができるのは幸せである。

■６■AIによる開示は鵜呑みにするのでなく、一度自分で比較したり確認したりすることで、何もないより大いに役に立つ。日本語の｢幸せ｣を検索すると、｢楽しさや嬉しさで心が満ち足りていること､幸運で恵まれている様とあり、対義語は｢ふしあわせ､不幸､禍､災い､厄｣等で、外国語まで丁寧に示してくれる。

■７■｢幸｣の書き換え字としては｢倖｣がある。｢幸｣が｢幸運｣や｢幸あれかし｣のように一般的な幸せや恵みの意味で使われるのに対し､｢倖｣は<こぼれざいはひ>の意味で使われることがあり､思いがけなく訪れた幸運や恵みを意味する。俗な表現だと｢棚から牡丹餅｣や｢勿怪の幸(もっけのさいわい)｣となるだろうか。

■８■｢幸｣という言葉だけがあっても幸せではないし、その言葉がなくても幸せな状態であることはある。言葉が表している概念を正確に認知することも重要だが、言葉が表している状態にあることの方が好ましい。願わくば存在するだけで幸せが零れ落ちる｢倖｣の存在になる未来であることを共に目指したい。

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画像<1>中央「TABILBO」より借用加工。画像<2><3><4>「pixabay」より借用加工。

■９■今日は生後25920日。惑星歳差運動周期25920年の１日１年法による、個人的な銀河１周記念日だ。ひとりよがりで誠に勝手な自己暦なのは間違いないが、それでもプラトン年とも言われ、１年で地軸の傾きが約50秒ずつずれていき元に戻る周期が、自らが生きたたかだか365倍だと考えると不思議な気もする。

20250505 Monday