46070

■１■今日はＪＲで大曽根にいき、高蔵寺行きのゆとりーとラインに乗った。途中で要ヘルプの｢ハート＋｣マークを付けた老人がガクガク震えながら乗ってきた。すぐ傍の若い女性が席を譲ったのだが、ただ立つだけでなく優しく両手で老人を支えて座らせていた。こんな一コマが自然にある日本に胸熱くなる。

■２■ずっとスマホをいじっていた外人(ベトナム人かフィリピン人かな)がスマホで停車ボタンを押して降りて行った。それはちょっとバッドマナーというかお行儀悪いなと思った。しかし自分も自宅マンションの昇降機のボタンをルームキーで押していることに気づく。新コロ騒ぎ以来の癖だった。改めよう。

■３■午前９時10分、先日登った東谷山の麓の東谷橋で降りて川下に向って左岸を歩き始める。春霞気味だが快晴。陽が当たる川の流れに歩速を合わせたら、少し早めで心地よい出だしだ。橋の下で群生する菜の花が、もう実をつけ始めていて先日より黄色味が薄く見える。水も空気も人の心も澄んでいる日本。

■４■堤防の上にあった砂利混じりの遊歩道が突然途絶えたので、しかたなく川表にある去年の踏み分け道の名残を辿って歩いた。コンクリートの道よりは心地よいが、散漫に歩くと足を掬われるので、１歩１歩が注意深くなる。河口まで34kmの看板辺りから木立で川が見えなくなる。木の上に藤が咲いている。

■５■近所の人だろうか、犬の散歩をしている２人連れが｢こんにちわ｣と挨拶してくれた。にこやかに挨拶を返せる暖かな春の日。川面を隠している竹林の中で鶯が鳴いている。川に近づきたいなと思っていると、河川敷の中に小道を発見。庄内川を見ながら小道を辿って行くと、突然行く手を阻む小川がある。

■６■どうしよう。ぐるりと大回りして戻るか。いや、枯れススキの中の２ｍほどの小川だ。靴を脱ぎ、浅瀬を伝って渡ろう。大小の石のぐらつきを確かめながら進む。足裏が痛いのは内臓が宜しくないのか。渓流などを歩く沢登りは登山靴を履いてもまだできないな。とにかく足を拭き、枯れ藪中の道を探す。

■７■さっき渡った小川が蛇行してまた目の前に出現した。庄内川に合流直前の支流だったらしい。幅広くなっていてとても渡れない。さっきの浅瀬は奇跡的だったのか。全ては藪の中で分からない。少しだけ開けたところに出た。堤防まで100ｍほどもあり、途中は枯草が覆う空洞地雷だらけの地獄平原なのだ。

■８■１歩進むごとに枯れ枝の屋根を破って膝や腰まで埋もれつつ大地に達する。よもやの生存闘争だ。下ばかり見ていても先が見えないし、直感的に底まで浅い硬いところを選びつつ、堤防への最短距離をも見据える。端から見たら自然との独り相撲だ。どうにかこうにか堤防に辿り着く。何だこの達成感は。

堤防に上がって先ほど渡った小川を見ると、堤防までは少し大きな支流で、河川敷部分に入ると三角州のデルタ地帯のように幅が広がり、枯れススキや他の植物で見えなくなっている｡確認のためにその川を500ｍほど遡ると大きな橋が架かっていた。野添川。渡った浅瀬部分は本当にラッキーだったのだ。

■10■結局橋を渡って確認した。最初からここを通っていればわざわざ小川を渡る必要もなかったのに。しかしそれでも枯草地獄突破も含めて達成感は残った。また同じ様な状況になっても、懲りずに道なき未知に突っ込んでいくだろう。そして最悪なことにそんな自分が好きなメタな未自分がすぐそこにいる。

(やっぱ、続くのね)

20250427 Thursday