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■１■時々街角などで、体が思い通りスムーズに動くことの心地良さを感じながら、意識的に片足を軸に半身をゆっくり捻るように重心移動しつつ曲がることがある。子供の頃は当たり前すぎて気にも留めなかった、この体がほとんど何の支障もなく自由に動くことへの感謝と敬意を感じる自身への逆老人差別。

■２■名古屋市守山区側から吉根橋を渡り､春日井市側の庄内川を西に1.5km程歩くと､川はＪＲ春日井駅に約500ｍ程近づいたところで支流の内津川と合流してほぼ真南に流れを変える｡流れに沿ってさらに1.5km程南下すると急に河川敷が広くなってグラウンドが現れ、対岸の丘の上には竜泉寺の湯が見えてくる。

■３■水辺に沿って歩くと､堤防がどんどん離れて行く。川の両岸は菜の花(西洋カラシナ)が随所に群生するので有難味は分散したけれど､それでもやはり黄の中を歩くのは楽しい。対岸から黄の花越しに竜泉寺の湯を見上げるとは思いもよらなかった。今度は湯船の中からどこを歩いたか確認してみようと思う。

■４■再び南に流れを変えた川に沿って河川敷の端を歩いて、川越しにほぼ竜泉寺の湯の真下まで来ると、道が二股に分かれていた。ＴＶでタモリが三叉路が好きだと言っていたが、川岸に近い左の道を選んで進むと、突然綺麗な淵に出て、道はそこで止まりだった。夢の中にでも出てきそうな心地良い岸辺だ。

■５■他の人には普通の岸辺と映るかもしれないが、足元は砂場で、目の前にはすぐに水際があり、ゆったりした川面を穏やかな風が渡っている。音が途絶えて静かだ。80ｍ程先の対岸では静かに釣りをしている人がいる。振り返ると堤防は遥か300ｍ程に遠のいている。ずっとここに居続けたい気持ちがする。

■６■川岸に細い道が続いていたので辿ってみる。少し行くと小さな離れ小島のように突き出ている中州に続いている。突端まで行くとそこは川の中の三叉路だ。タモリは陸路の三叉路が好きだと言っていたが、個人的には支流との合流地点も含めて川の三叉路が大好きだ。最先端の先には新緑の倒木があった。

■７■名残惜しいのでしっかり心に刻み込んでいたら、近くに車を止めてゴルフクラブを振っているおじさんがいた。この先の枯れ葦地獄っぽい川岸近くを進めるか尋ねると、その先は道がないので三叉路まで戻って進めばよいと教えてくれた。帰ってからその先を調べたら、そこは自衛隊の下津訓練場だった。

■８■元の三叉路から進むとまた三叉路があった。堤防道路までは400ｍほどもあり､その間には色々な畑がびっしり並んでいる。畑の間の道を進むが多くは途中で途絶えている。行きつ戻りつしながら最後は農作業中の夫婦に道を尋ね、ようやく堤防道路に復帰した。振り返ると畑だらけの広大な迷路だ。楽しい。

(もう少し続く)

20250425 Friday