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■１■名古屋の地下鉄名城線はぐるりと繋がった環状線だ。東京や大阪のJR環状線のホームは内回り・外回りと表わすが、名古屋では右回り左回りと表わしている。時計回りが右回り、反時計回りが左回りであることと、日本の交通では左側通行であることを知っていれば、同じことの別表現だと分かるだろう。

■２■ゆとりーとラインに乗って気づがいた。前回は平地区間と同様に高架区間も運転手が専用の狭路上を普通に運転しているのだろうと思っていた。しかし実はガイドラインバスの名の通り、車体前後に備え付けられた案内輪が２本のガイドレールをトレースして走行する、非常に特殊な運行形態をしていた。

■３■この日本で唯一の交通機関は、高架区間で路面電車と同様｢軌道法｣の適用を受けるので、運転手は｢無軌条電車｣の免許も持っている。そして高架区間は運転手はハンドルに手を触れずに運転している。地上部で下車後に確認したら、案内輪は昔の戦闘機の車輪ように車体下に畳み込まれて収納されていた。

■４■このユニークな交通機関は、四半世紀前の2001年３月に運行を開始されたのだが、2026年度からは高架区間を全自動運転に切り替えることを検討中らしい。愛知万博でデビューし、現在も日本で唯一稼働中の、磁力で車体を動かすリニアモーターカー｢リニモ｣もそうだが、?名古屋には独特な乗り物が多い。

■５■小幡緑地駅の次は高架線から地上に降りて地上を走るのだが、その３つ目に｢吉根口｣という停留所がある。<きっこぐち>と読むのだが、<キッコロ>とも読める。2005年愛知万博のキャラクターモリソー＆キッコロは守山区の大森と吉根がその名の由来だという説があったが、検索したらそれはガセらしい。

■６■さらに３つ先の｢上島西｣で下車して、庄内川に架かる吉根橋に出た。橋を渡ると春日井市だ。先日はここから下流に向って名古屋市守山区側の左岸を歩いた。今日は橋を渡って右岸を歩き下るのだ。名古屋一高い東谷山の登山後にはＪＲ高蔵寺経由で帰宅したが、春日井市側の河畔歩きは今日が初めてだ。

■７■｢人は同じ川に２度入ることはできない｣と言うヘラクレイトスの説く万物流転だが、個人的には｢人は同じ川の両岸を同時に歩くことはできない｣という現実が身に染みる。同じ川でも片方の岸を歩いた後、対岸を歩いてもそれは単なる初めてでもなければ、単なる２度目でもない。初めての２度目なのだ。

■８■しかし河岸アルキニストとしてはさらに｢人は同じ川の岸を同時に上流と下流に向って歩くことはできない｣とも強く主張したい。同じ道でも往路と復路は視座も慣れも違う初めてと２度目だけれど、川の一定区間の両岸を歩くことを考えれば､その初見と再見､反初見と反再見の４値的順番考慮は重要なのだ。

20250423 Wednesday