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■１■この桜の時期は特に日本人で良かったと思う。毎日のように驚きや喜びを与えてくれる大谷翔平君のように、こちらが何も対価を払ったり努力をしなくても、あちこちで満開になってくれる桜の木々。もう毎日そわそわしながら開花情報を見たり、強風や雨で花の心配したりすることすらできるのだから。

■２■一昨日散歩して、｢日本桜名所百選｣にも選ばれている山崎川流域の桜が七分咲きであることを確かめたのだけれど、１日目を離すだけで満開になったり散り始めたりする潔いのが桜だ。そこで今日は仕事前の愚妻と早朝の山崎川流域を一巡りすることにした。快晴で雲もない。澄んだ流れの水量も豊かだ。

■３■桜の木々の下に早朝から陣取って、ひがな飲み食いしながら桜と春を愛でる日本の風習も嫌いではないが、その喧噪や酩酊の間を縫うようにして歩きながら桜を愛でるのが少し苦手なので、川沿いを歩いたり佇んだりしながら両岸の桜を見る当地の雰囲気は気に入っている。もはや年中行事化しているが。

■４■平日の午前８時前はさすがに花見客はまだいない。先日の下見時は既に多くの人が川の両岸や架かる橋に沢山いたので、自分もその雑踏の一部であるとは知りつつ、その話し声や笑い声に気が散って、つい早足での一巡りとなった。まだ満開直前の九部咲きではあるのだが、早くも風に散る花びらもある。

■５■既に川面には少しだけ花筏もできている。朝が早いからだろう、鳩も鯉も小鳥たちもその姿が少ない。岸ではようやくタンポポがちらほら咲き始めている。最近は護岸の改良工事も済み、エリアごとに桜の大胆な剪定や植え替え等の管理も行き届いている。今年は流域にセイヨウカラシナが咲いていない。

■６■川沿いに桜並木が多いのは、治水工事が未熟だった江戸時代に、花見客に土手を踏み固めてもらうために植えられたという説があるという。東京の墨田川両岸の約１kmに渡って続く桜並木がその例だそうだ。その風習が今の花見の起源だという。だがこの山崎川の約2.8kmに渡る桜並木は少し事情が異なる。

■７■瑞穂区北で立ち上げられた石川土地区画整理組合(1927～1935年)が、屈曲していた山崎川の流路を真直ぐに通すという最大の事業を終えた後、解散する記念にと石川橋から南の山崎川両岸に桜を植えたのが始まりだと記録されている。どこか真直ぐな新川の掘削施行にも通じるところを感じる。川の事情。

■８■９時近くになると、三々五々花見目的の人達も姿を見せてきた。春だからだろう、すぐとても眠くなる。ここのところの夢は、眼前の画角を桜色で一杯にしながらうたたねするということだが、さすがにこれから増えてくるであろう桜見物客に、阿呆な寝顔したさらし者になることなく帰宅するのである。

20250405 Saturday