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■１■名古屋駅近鉄の１番線に普通列車が入線してくる。終着駅だから満員だったのに、折り返しで発車した普通冨吉行きはガラガラだった。庄内川を跨いでから伏屋で降り、新川を跨ぐ榎光橋まで歩く。さあ今日はここから前回の新川下りの続きである。今日も風が強い。相変わらず新川は直線に流れている。

■２■上流から色々流れてくる河口近くの河原は、増水後は特にゴミが目立つ。河口に向かうには追い風だが、それでも帽子を飛ばされないように水面の風波と競うように歩く。春だからか眠い。三日月橋を超えると堤防の川裏側には民家や工場が迫り、川表側はコンクリートできっちり護岸整備がされている。

■３■堤防の上の道路は車が飛ばして走るのに、歩道部分がないのでゆっくり歩けない。普通の人は誰もここを歩いていないので、車専用なのだろう。狭い堤防の塀の上を歩くわけにもいかないので、しかたなく川面側の水面に近いコンクリートの上を歩く。鵜や鴨などの鳥が羽ばたいて逃げる。驚かせて御免。

■４■新川は大きく左に曲がり、歩いている場からは分からないが、東を流れる庄内川に近づいていく。正江橋-両郡橋間の左岸の県道228号が堤防工事中の通行止めで、狭い河川敷も通れない。仕方なく対岸に渡るが、こちら側も切回し工事をしている。堤防を高くしてから道路を川岸より遠のける工事らしい。

■５■両郡橋を渡って再び左岸を歩くと、川に面して廃墟のビルがあった。下之一色漁港跡とある。伊勢湾台風の後高潮防波堤が建設されて、漁場が失われ廃墟になったらしい。周辺には幾つか県による地盤沈下対策河川緊急工事のプレートがあった。新川が作られた後もこの辺りは水害が絶えなかったようだ。

■６■新川を跨ぐ日の出橋は、左に100ｍほどまで接近している庄内川の明徳橋とそのまま繋がっていて、２川を分つその先の長い中州状の地は立ち入り禁止になっている。かつてはここで合流していて、庄内川の増水時に新川側に逆流したこともあるが、今では河口まで２川を分断する堤防はずっと続いている。

■７■新川の右岸側に渡って南下再開。今では何の変哲もないただの車道だが、その道は旧東海道だという。相変わらず堤防上の道路は歩道がないので整備された狭い河川敷に降りて川下に向かう。南陽大橋も潜り抜けるが、昇り口の無い高いコンクリートの護岸が続いていて、堤防上に戻れるのか不安になる。

■８■河口まで1.5km程の庄内新川橋もその下を通過｡その先はもう川を渡る橋はないので、かなり先まで行ってからようやく上り口を見つけ、戻って橋を渡った。無休歩行なのでかなり疲弊しつつ最後の南下を続けていると、河口から0.4km、0.2kmという看板があり、ついに庄内川河口より０kmの看板があった。

■９■確かに川の向こう岸はその辺りで途絶え、その先は日光川の広い河口に繋がっている。しかし眼の前にある分流堤はまださらに先に繋がっている。先に進むと-0.2kmの看板があった。それありかよと突っ込みつつ進み、結局0.6kmより先遥かで分流堤先端は視認できた。海に1.5kmほど突き出して果てていた。

■10■まあおかげで去年は満潮で見られなかった、河口のラムサール条約登録の藤前干潟が薄っすら見えた。渡り鳥や低生成物やスナメリまでいるらしいが、生物観察までの余裕はなかった。万歩計は18000歩を指している。ようやく新川河口旅は終り、あおなみ線の野跡駅から名古屋駅に出て無事帰路に就いた。

■11■河口より０kmの看板が表示されていて、ああここがそうなんだと思ったけれど、分流堤はさらに先まで続いていて、辿ると最後は国指定鳥獣保護区の藤前干潟と一体化した大湿地帯になっていた。干潮と満潮でも実際の地形が変わるという自明なことを改めて知る。埋め立てを中止させたのはラムサール条約。

20250404 Friday