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■１■人間の性染色体のＸＹとＸＸを見ながら、何となく連想したのだが、世界を全て数として捉え見た古代ギリシアのピュタゴラスは「奇数は男性的で偶数は女性的」と言った。定義は色々ある。偶数は２で割れるが、奇数は２分割できない。あるいは偶数に＋１したものが奇数だ。日本語で｢ぐうすう｣は４文字で｢きすう｣は３文字だ。

■２■トランプ大統領が「性は２つ」と言った。心身の様々な性的発現のスペクトルを恣意的に細かく分類して平等を強要したポリティカルコレクトネスの狂態に対し、人間の性差は生物学的に２つだと改めて言明したわけだ。奇数と偶数は整数の二分別であって、少数や無理数や虚数などを引っ張り出して云々してもそこに含まれない。

■３■「偶数が好きか、奇数が好きか？」と二分別法的に問われたら、当方は数に対しては二択でなくオタクだから「両方とも！」と躊躇なく答える。「女が好きか、男が好きか？」と問われたら、ルッキズムではないけれど美人の方がとか、年増よりはやはり若い方がなどの妄想が漏れ出るのを押さえて「両方とも！」と必死に答える。

■４■魚の中には生存戦略として性転換するものがいる。生まれたときは全てメスで、成長過程で一部がオスになるものを<雌性先熟>と言う。逆に幼魚の時は全てオスで、群れで最も大きいものがメスになる。そのメスが死ぬと２番目に大きかったオスがメスに性転換する。前者はサクラダイやマハタ等、後者はクロダイやクマノミ等だ。

■５■整数には生存戦略などはないので、偶数が奇数となり、奇数が偶数になることはないが、<偶数＋奇数>は奇数となるが<偶数＋偶数>も<奇数＋奇数>も偶数になる。また<偶数－偶数>も<奇数－奇数>も偶数になる。<奇数×奇数>は奇数になるが、<奇数×偶数>も<偶数×偶数>も偶数になる。何となく奇数の方が生存率が低いようだ。

■６■「<男>の字の中には<＋>があり、<女>の字の中には<－>があるが、それらが交差した結果としての<父>の字の中には<×>があり、<母>の字の中には<÷>がある」と二分別法的でなく４値的なフレーズを吐いたことがあるが、数の正数と負数を男と女に対比することはできても、男女の性差を四則計算と重ね見ることは別問題となる。

■７■中国では偶数が好まれるし、日本では奇数が喜ばれる。「偶数が好きか、奇数が好きか？」との二元的な問いに対して､４値的な世界では｢偶数｣､｢奇数｣､｢どちらも好き｣､｢どちらも好きでない｣があり得るし、｢数には偶数奇数だけでなく少数や無理数や虚数もある｣や「人間の世界認識は数だけではない｣も答を超えた答でありうる。

■８■ピュタゴラスのフレーズは、奇数を男性的な原理に、偶数を女性的な原理に対応させ、万物は奇数と偶数の相互作用によって成り立っていると言う意味合いで、現代日本ではまあ影響力はない。それは無宗教だけどイベントは楽しむ宗教観に似て、駄洒落や数合わせが面白ければ楽しめばいいが、苦悶しつつ思考する問題ではない。

20250217 Monday