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■１■愚妻が昨日、近所の大手スーパーのイオンが恵方巻を大量に販売するらしいと言っていた。そもそも恵方巻とは、節分の日に太巻き寿司を恵方に向かって無言で頬張ると願いが叶うという、20世紀末に売上げ目的で創作された食文化だ。それを楽しみ心安らかになる人もいるので個人的には否定はしない。

■２■個人的には関与しないものだが、昨日の午後９時頃、いつもの散歩の道すがらちょっと店内を覗いてみた。食材コーナーに大量の恵方巻が売れ残っており、赤と黄色の｢レジにて半額｣のシールが張られていた。海鮮恵方巻やローストビーフ恵方巻などは賞味期限が短いので、売れなければ廃棄処分だろう。

■３■今日の冷蔵庫には恵方巻が４本入っていた。愚妻が午後10時頃イオンに行くとまだ大量に残っており、もったいないというより可哀相だからと買ってきていたものだった。千円超えの高価なものもあったが、普通の恵方巻(598円)は200円に値下げされてた｡１周まわって興味がない者の前に出現するわけか｡

■４■具材が厚焼き卵･きゅうり･味付けかんぴょう･シイタケ煮･おぼろ・高野豆腐等、そうそう足が速くないものばかりなので、用途廃棄処分による食物ロス問題防止の端に触れつつも美味しく頂いた。クリスマスケーキもまた、イブの日を跨いで25日にはもう価値が下がり、今では半額で売られているという。

■５■半世紀ほど前の昭和全盛の頃は、24～25歳が女性の結婚適齢期と言われていた。クリスマスの25日と数合わせで重ねて、ケーキは少しは日持ちするけれど、26日、27日とその価値はどんどん落ちていく、つまり売れ残りになって行くという、今それを口にしたら明らかにセクハラな事案も普通に語られた。

■６■明らかに原価割れしている恵方巻は美味しく頂いたが、その昔同様に原価割れの恩恵に浴していたことを思い出す。2020年からしばらく続いた新型コロナ狂騒曲時代もあちこち旅をした。２～３千円台でも宿泊できた。昨今のオーバーツーリズムの真逆で、海外からの旅行客はそもそも来日できなかった。

■７■京都の街を歩いても外人は皆無だった。大阪の街を歩いても地下街は現地の人さえおらずほぼ無人の時期もあった。人すら稀な道頓堀界隈で綿棒多面体をもって撮影しまくった。今では軽く１万円台超のビジネスホテルも２千円台で余裕で泊まれた。そんな風に反転した隙間で生かせてもらうことに感謝。

■８■売上げ目的で創作された食文化である恵方巻に限らず、世界は経済的理由からの創作に満ちている。それらも巧妙な生命現象であり、決して否定し去るべきものではない。ただし様々な作り話を見分け、それらしい嘘に踊らされずに、それすら遊びとして笑いながら本当にやりたいことを生きていきたい。

20250203 Monday