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■１■友人の飼っていたハムスターが死んでしまったらしい。ペットロス時の心中は察するところがある。個人的にも猫の看取りを何度もしたことがある。現今の日本人男女の平均寿命は84年だ。これは天王星の公転周期に等しい。ハムスターの寿命は２～３年だ。小動物の寿命は人間に比べればなんとも短い。

■２■『葬送のフリーレン』というマンガがある。アニメにもなって世界的にも大人気な物語だ。パーティーを組んで魔王を倒した後から物語は始まる。主人公のフリーレンは寿命が千年以上あるエルフで、半世紀後に老衰死した勇者ヒンメルの葬式で、彼の気持ちを何も知ろうとしなかった事に気づき涙する。

■３■フリーレンは人間の気持ちに興味を持たないまま、パーティーを組んで同じ時を過ごした。人間も小動物の気持ちを知らないまま同じ時を過ごす。千年以上の寿命を有するエルフと百年にも満たない人間との、また人間と僅か数年の寿命である小動物との関係性を、スライドして重ねて捉える事は可能だ。

■４■もう既に目の前にはない過去の出来事を想起して、改めてその時を今生きることで分かることがある。気づかなかった優しさや思いやりを知ることで、過去でなく今が変わる。後悔や悲哀に耽溺するのではなく、そこに共に在った事に感謝しつつ、それを支点として現在と未来をより良く創出していける。

■５■寿命２～３年の小動物や美しい花を咲かせる１年草との交わりからも、自らの生き方に対する活力や創造力を貰うことができる。世間や他者・他物との関わりを極力絞って生きることもできれば、何事に対しても敬意と慈しみを持って接することもできる。巡り会い想起するごとに自らも成長できるのだ。

■６■創作の中では、想起する側の心にもされる側の想いにも触れることができる。自らの心の中でも、自らの過去の想いを改めて思う現在の視座が自覚できるように、未来から想起される現在の自分をイメージすることはでき。見る者は見られる。見られる者もまた見ることができる。情が動けば今が変わる。

■７■『風の谷のナウシカ』の１シーン。死んだテトを埋葬して悲しむナウシカに、庭の主は「不思議な眺めだ。死神を連れた者が小さな動物の死に涙しているとは」と言う。するとナウシカは「あなたは親しい友の死をその身体の大きさで量るのですか」と返す。もちろん寿命の長さでも量りはしないはずだ。

■８■ましてや同じ人間同士でも、分かり合えなかった人たちも沢山いる。とうに死んでしまった人も、もう２度と会えないであろう人も、目の前にいる人も、そして未だ巡り会っていない人も、皆な自分自身の中にいる。混乱することなく、分け隔てなく、反転した自己として大切に扱い共に在りたいものだ。

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(※) 画像<1>｢WEBくじ｣　より。

20250202 Sunday