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■１■午後２時、塩付通を南進開始する。下校中の小学生の男の子に「こんにちわ」と挨拶される。一瞬驚くが「こんにちわ」と丁寧に挨拶を返した。以前もこんなことがあった。旅先の田舎では時々、同じように挨拶されることがある。田舎の子は大人に挨拶するのかと思ったが、いつでも誰にでもではない。

■２■有名人とか教育関係者に似ているのか、昔はそんな雰囲気か自分にはあるのかと思い上がりそうにもなったが、威圧感でもなく、存在の濃薄度でもなく、今だに謎のままだ。挨拶されたら挨拶を返す。取り敢えずそれは基本だ。女子高の門前で帰宅開始の女子高生の大群に勝手にひるみ、道を１本ずらす。

■３■点字ブロックのある少し広い歩道を歩いていると、後ろから「真ん中を歩きやがって、馬鹿野郎が」と声がした。振り向くと自転車に乗っている爺さんだった。充分スペースはあるが、取り敢えず右によけると、ゆっくり横を通り、更に悪態をつきそうなので、機先を制して「何ですか？」と言ってみた。

■４■理不尽なままやり過ごしても良かったのだが、折角だから笑いながら強気に出てみた。爺さんは無言のまま目を逸らし、よろつきながら走り去って行った。別にどちらが正しいとかでなく、気まぐれにやりあってみようかと思ったが、ただの弱気な爺さんだった。爺い同士の絡み合いは成り立たず、残念。

■５■30分経過して、去年の最初に歩き始めた頃と同じほどの距離を歩けるまでに回復していることを確認する。しかしまだ左ひざ周りが一歩一歩ごとに引っ掛かる感じはなくなっていない。スマホアプリの万歩計だと時速4.9kmだった。まだまだ遅い。両手を振ってもまだ歩く回転速度がなかなか上がらない。

■６■誰にでも共通のベストな歩き方があるわけではない。その日その時ごとに歩き方を適応させることができる。生物は怪我をすればそれに応じて歩き方を変え、その日の天候や健康に合わせて自然に最善の歩き方ができる。膝を意識して、着地の時の足の裏周辺の感覚を密にすると少し歩きが滑らかになる。

■７■１時間近く道なりに歩いて、桜通線の鶴里駅に辿り着く。鯛取通の表示を見て、昔ここまで海だったと考えたことを思い出す。さすがに汗をかいたので、駅の洗面所で久しぶりに着替えた。アプリをみると１時間で５km程だった。桜通線に乗って御器所まで帰る。車中で女子高生がおにぎりを食べている。

■８■体育会系の部活の後のようで、空腹らしく美味そうにかぶりつきながら、友人と楽しそうに話をしている。周囲の人も好意的に静かな無関心を決めている。別にいいんだよ。日本では固定した規則や強制的なマナーではなく、その時その場に居合わせた者同士でものの飲み食いの可不可を決められるんだ｡

20250129 Wednesday