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■１■１月３日。数は３から始まる。３は２番目の素数であり、最小の奇数の素数でもある。地球は太陽系の第３惑星だ。３は自然対数の底ｅ＝2.71828…に最も近い整数であり、また円周率π＝3.1415926…にも最も近い。色光の３原色は<赤･青･緑>であり、色料の３原色は<マゼンタ･シアン･イエロー>だ。

■２■詩人河村悟が言っていたように１は１だけでは｢ものの数ではない｣。１と２だけでは、２は１の分裂したものであり１は２の統合されたものに過ぎない。｢数は３から始まる｣。このフレーズだけでも含蓄が多すぎてやはり本意は伝わらない。｢３は知の始まり｣。全てが動き始める。二元論の否定ではない。

■３■俗に数の概念が形成されるのは３歳からだと言う。個体差と環境も大きい。誰もが既に数の概念は自明なのに、その最初の体得や理解時の記憶はまず無い。１歳児や２歳児に数を教えるといっても、歌やリズムを使い遊びながら１～10を一気に数えさせても、むしろ言葉自体の教育で数理の教授ではない。

■４■｢道は一を生じ､一は二を生じ､二は三を生じ､三は万物を生じる｡｣と言ったのは老子だ｡｢１は２となり､２は３となり､第３のものから全一なる第４のものが生じる｣と言ったのは、３世紀の女性錬金術師マリア･プロフェティサだ。一目を置いてもいいが、まあ遥か昔に死んだ爺さんと婆さんの物言いである。

■５■｢２度あることは３度ある｣と｢３度目の正直｣は相矛盾するように思えるが､同時に生起しないのでそこに深く固執する者はいない。｢お父さんとお母さんがいて、子供の君が３｣等と言うことすら現今社会では万能ではない。｢♪小さい秋小さい秋小さい秋見つけた～｣ももう１回繰り返されたらイラッとする｡

■６■自己他者問題を私とあなたの間だけに見るのは朴訥すぎる。自己の中にある未自己との自己他者問題や、あなたと私を含めた位置とそれ以外の自然や社会や宇宙という自己他者もある。常に１つに統合されることで、数はそれをはみ出して広がる。日本語空間の中で自己他者問題は何度でも３から始まる。

■７■「簡単なことを難しく言うのは簡単だが、難しいことを簡単に言うのは難しい」ということを簡単に言う者のことも深く疑わねばならない現今の世相も世知辛い。説明できなくても本質的に知っているので、難しく考えすぎたり外にばかり説明を求めるのでなく、自らの内側に問い続けていれば答はある。

■８■テトラクティスの上に１,２,３,４を見ても、１,３,６,10を見ても、また１:１､１:２､２:３､３:４の音階比を見ても､５を中心に全体を回転させても、それぞれの数の意味や他の数との関係は変わる。確定した意味を数に帯与させて語る占い師には気を付けよう。数は苦悩や呪縛の道具でなく楽しむもの。

20250103 Friday