45093

■１■本年最後の名古屋駅周辺の定点観測。10時30分に家を出る。今日は曇り予報だが晴れている。大晦日の午前に名古屋駅に出向く人達はどんな用事があるのだろう？年越しの除夜の鐘を聞くとか、初日の出を見るのにはさすがに早過ぎるだろうし。キャリーバッグ転がす人も多い。今から帰省か旅行なのか。

■２■地下鉄３階から地上に上がるのに、当たり前のように長いエスカレーターに乗る自分に気づく。そもそも歩くのが目的なのに無意識に楽をしているのか。しかも垂直方向に重なる要素を内包した階段をスルーしては如何なものか。できるだけ階段は登ること。名古屋駅周辺界隈は相変わらず人が多かった。

■３■駅コンコースの観光案内所もさすがに今日はお休みか。やはり昨日よりは混雑していない気がする。新幹線改札口を過ぎて、太閤口の地下街ESCAに下りて見る。11時を少し過ぎた時間なのに、食事処にはもう行列ができている。名古屋めし目当ての内外観光客。それでも欧米その他に比べれば値段は安い。

■４■立ち止まっての定点観測だけだと自らが動かないので、敢えてぐるぐると周辺を歩く。仲良く後ろ手で手を繋いで歩く老夫婦。手を繋ぎ横にＭの字に広がって歩く若い欧米人のカップル。太閤口からビックカメラへと信号を渡る。でかいバッグを転がしてホテルに移動中らしい東南アジアのツアー御一行。

■５■そのまま線路伝いに南下すると、こんなに近くにと思うほど桜通口の開発とは真逆の普通の民家が並んでいる。笹島ライブへの長い陸橋で近鉄・関西本線・あおなみ線をまたぐと中川運河の堀止緑地に出た。水辺、街並み、人の流れ。無人の愛知大学校舎。何やら今年の１人歩きのダイジェストのようだ。

■６■桜通口に戻り、真横から行き交う人の流れを見る。床が平らで滑らかなのもある。しかし人間は何と美しく歩くのだろう。この感覚は痛風でほぼ身動きがとれなくなった状態時に感じた。人間は自然に歩く存在なのだ。荷物を転がしつつスマホを見て、子供と手を繋いで話しながら確実に目的地に向かう。

■７■待ち人たちの中に紛れ込んで、何の予定も目的もなく、誰をも待たず待たれもせずに雑踏を眺め続ける事が、ものすごく贅沢な事に思える。非生産的だとか、社会に貢献がないとか、ひとりよがりの王国だとか、そんなことは自分にも他人にも大した問題ではない。本当にやりたいことをここでする喜悦。

■８■午後１時。何となく午前中より人波濃度が増えてきている。今日はいつもより周辺を歩き回ったのでちょい疲れたから、これ以上濃くなって浸透圧差でエネルギー吸い上げられる前に退散しよう。それにしてもちゃんと年を越すために、大晦日に買い物とか最後の仕事をこなすとか、正常人って大変だな。

■９■桜通線の優先席にベビーカーを押す若い夫婦が乗って来た。ベビーカーの中に歩ける子が１人、その小さなお兄ちゃんが歩きで１人。パパがもう１人胸に縛り抱えていて、全部で５人。どうしようか考えている内に、向かい席の老婆が笑顔でこちら側に移動した。礼を言う母親。自分はまだまだ未熟だな。

■10■未熟も偽善も偽悪も仮面なればそれを剥ぎ、真逆のルビを振っても立派に機能する素晴らしい日本語の言語空間の中で、波乱万丈・驚天動地が予想される2025年に転がり出て行くわけだけれど、何はともあれ、皆様、それでも呪術でなく寿術として裏心無く「良いお年をお迎えあれ」と心から申し上げ候。

20241231 Tuesday