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■１■10時30分、名古屋駅周辺の３次元タペストリーの定点観測に出発。表面しか見えないけれど、裏側では様々に交錯している糸のある実体絵物語。ほとんどすべての人が１度きりの視野の中に入って、そして２度と巡り会わないんだよな。そのような実感も年の瀬の感慨もないまま、名古屋駅に滑り込んだ。

■２■年末だからかこの日時だからなのか、外人さんが非常に多い。そして概して動きが少しスローだ。初めての場所なのであたりに気を使う余裕も無かろうが、雑踏の名で微妙に流れを淀ませる。しかし誰も文句を言わない。きれいに避けて通り過ぎる。何の問題も残らない。贅沢で豊穣すら感じるこの流れ。

■３■自分が顔認証の防犯カメラのように行き交う人の顔や表情をスキャンしていることにはたと気づく。面白い人や変な人はいないか探しているちょっと嫌な奴にならぬように。正面口と太閤口を繋ぐ広くて長いコンコースを行き交う人々。暖房もしっかりしているけれど、これだけの人数が動くので超暑い。

■４■高島屋側２階のコンコースを行き交う人や時計台下で待ち合わせする人達を俯瞰した。多くの人の服装はキチンとコーディネートされていて、不快さや珍奇さがない。奇抜でもしっかり考えられている。今日はルーセントビルと名古屋大ビルジングの地上と地下を攻めてみたが、もう全体が把握できない。

■５■多くの人が無意識に信頼しあっているので、猜疑心や警戒心等に莫大なエネルギー使わずに済んでいる。その分余裕で肯定的創造や他者への思いやりに使われている。搾取され洗脳されていると言われても、それでも人間的な喜怒哀楽を味わい、自らの小我すらも通せる日本語空間に驚きつつ感謝したい。

■６■サンロード、メイチカ、ユニモール、ゲートウォーク…その他名古屋駅には沢山の地下街や通路があるのだが、ペースの異なる速度の人達が、互いの間やお昼時なので食事処に左右に並ぶ人の列を縫いながら歩くスキルに驚く。そして何より自分自身もまた無自覚の内に滑らかに歩き流れている事に驚く。

■７■幸せな風景のほとんどは逆に平凡過ぎてニュースにならない。実際日本の当たり前の光景のどれだけが、他国からは別次元の豊かさとして映ることか。まさに当たり前すぎて言われないと気づかない幸せ。さらに良くなるのか無くなるのか。どちらにしてもこのまま同じで続くはずもない。良く味わおう。

■８■歩き続けたまま帰路の地下鉄に乗ったら凄く暑い。左隣の女性が笑顔のまま向いの席に移った。親子３人が一緒に座れるよう席を譲ったのだ。右隣は東南アジアの男性で、緊張してか畏まっている。何か問題があるなら声を掛けようかと思ったが大丈夫そうだ。灼熱地獄も大分収まった。１時御器所帰還。

20241230 Monday