■１■４時半起床｡７℃､体感温度５℃。なぜ歩くのか考えながら目が覚めた。他者に強いられるのでなく、自ら固く決意してでもない。いわゆる｢自発｣というやつか。体力回復もあったが、体を介して土地と馴染み知ることとなり、それはそれで自らの体と心の在りようを解し、反応を確かめることでもあった。
■２■５時42分の桜通線に乗り、同56分名古屋駅着。ここからあおなみ線６時ちょうど発に乗り継げるか、ひとりタイムトライアル。地下３階のから長いエスカレーターを駆け上がり、太閤口をぐるりと回ってあおなみ線まで早足越えて駆け足で。結果はギリセーフ。おかげで６時12分港北着。もうやらんけど。
■３■港北駅では真っ暗だったが、明徳橋まで2.4km歩く間に空は明るくなっていた。明徳橋と日の出橋を渡り切り、新川沿いの護岸の道を歩き、伊勢湾に注ぐ河口までを辿り見るのだ。満潮なのだろう、水が逆流している。それに乗って水鳥たちもどんどん上流に流れていく。綿棒多面体を持って川岸を歩く。
■４■ちょっと奇異だがまあ誰も見ていない。新川と庄内川を貫いている南陽大橋の中央の丸いアーチ越しに日が昇る。長年の地域住民の強い要望により、2004年に開通した橋だという。この辺りは護岸工事がしっかりされている。対岸はずっと｢ヨシ原再生中｣とのこと。良し悪しと重ねられる葦・芦のヨシだ。
■５■河口までの最後の庄内新川橋まで辿り着き、これを逃すと稲永埠頭側に渡れなくなるので東岸へ。橋梁部だけでも１kmあるこの橋を渡るのはさすがに自転車ばかりだ。２つの川を隔てる境が細長い中洲のようにまだずっと続いている。渡り切ると川沿いの道には歩道がなく、僅か50cm程の堤防の上を歩く。
■６■東岸の川辺を歩くが､日陰で寒いので堤防の上の道路に上がる。何だよ､ちゃんと歩道もあるじゃないか。庄内川と新川は地図の上ではもう合流しているはずなのに、｢目の前ではまだ合流はさせないぞ｣と言う意思を感じさせるかのように、テトラポッドのみで更にずっと先まで区切られたまま続いている。
■７■その合流地点を目視したいので、こちらもずーっと護岸を歩き続ける。岸が稲永公園に入り込むと、ラムサール条約登録の湿地だという藤前干潟が河口にあるという案内板がある。しかし満潮だったので何もない。テトラポッドはまだ続いている。気付けばそこで乗って帰るつもりの野跡駅も過ぎている。
■８■歩くしかない。せめて川の合流地点を見て帰ろう。そう思っていると、突然デイバックをしょったおじさんが目の前に出現した。仕事でもなく観光でもなさそうだ。歩きが早い。これはあれだ、いわゆる困った時に人間の姿をして現れる導き手というかそういう精霊力だ…と勝手に決めて後を付いていく。
////////その２に続く////////
…ってちょう待て、続くのかよ。そして差し込み情報。
■０■庄内川は岐阜県恵那郡山岡町の夕立山(標高727ｍ)を源とし､諸支川を合わつつ名古屋市の北部から西縁部を流れて伊勢湾に注ぐ。新潟県を流れる信濃川が長野県では千曲川と呼ばれるのに似て、岐阜県内では土岐川と呼ばれる。その名は山田庄と呼ばれた西春日井郡周辺の内を流れるからという説がある。
20241206-1
Friday
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