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■１■昨日は城を見に行ったので、今日は人を見に行こう。10～20分ほど見るために、１時間以上かけて名古屋駅まで歩くのだ。｢人知らず｣でも｢人見知り｣でもないけれど、｢人を見て知る｣ために自らの身体視座も移動させる。過程の道すがらも大切にしたい。４時半出発。季節が１カ月ほどずれて寒くはない。

■２■国道153号線の起点である交差点までの道のりはもうしっかり馴染みの道だった。ここまでが約4km、そしてここからは真っ直ぐ3.5kmほど進めば名古屋駅に続く至る桜通りだ。この下を地下鉄桜通線が走っている。パーカーを脱ぐ。下はＴシャツ。長袖だと暑い、半袖だと寒い。季節が二の腕を行き交う。

■３■コインランドリー前は暖かい。明暗に反応するロドプシンだけでなく、オプシンで人間の色も見て行こう。そのような眼で見ると、最初は暗い闇の中で蠢く魑魅魍魎のように感じていたものが、今ではしっかり人間の街になっている。異物だったものが同じものになる。少なくとも共鳴できるものになる。

■４■それを見ている自分が単なる３次元空間を移動する視座に過ぎないのではなく人間なんだと感じる。その時点で妖怪でも人間でもいいじゃんとなる。見たもの感じたものを記録すると、その時点からこの空間把握の感覚は別物になり行くけれど、それでも意識や感情の残り香は伝わる可能性があるだろう。

■５■５時50分名古屋駅着。早歩き速度は時速７km弱？汗をかいたので西口地下街エスカのさらに下層の駐車場トイレで代えのＴシャツとパーカーに着替える。地上に戻ると太閤口の外はもう明け始めている。深夜高速バスがターミナルに到着して来る。６時､新幹線の改札口が開く。発車は上下とも06:20だが。

■６■足早の人、ゆっくりな人。頭に１つヘアカラーを付けていた女の子。自覚しつつなの、忘れているの？娘とコーデネイトした服装で楽しそうに改札に進む母子。パパは仕事なのかな？身障者の車いすを丁寧に改札まで案内し、携帯で中の職員に受け渡しているＪＲの駅員。駆け込み乗車するサラリーマン。

■７■皆無とは言わないけれど、早朝の駅には余り悲しみや苦しみがない気がする。みんな身なりも服装もきちんとしている。東南アジアの言葉で話しながら歩く外人さんたち。見た見た色々と。その分こちらの心も動く。今日はもう十分だ。帰ろう。全て偶然で全ては必然だ。言葉では表現しきれない楽しさ。

■８■御器所駅を出たら、変な格好のおじさんが自転車で信号待ちしている。ちょい苦手だなと見ていたら、道端の空き缶をひょいと拾って自転車の籠に入れていた。街を綺麗にする人だ。まだまだ人を見る眼がない自分を抱えるように帰路に就く。腹が減った。今日も面白かった。いやまだ始まったばかりか。

20241112 Tuesday