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■１■午前３時に起きる。窓を開けると窓枠が冷たい。外気温は12℃、体感温度は10℃だ。明け方には更に下がる。また揺り戻しはあるだろうけれど、随分寒くなったものだ。ここ３日間は名古屋東方に向っていたので、今日は西進して新幹線や中川運河を越えて中川区方面に行き、あおなみ線で帰ってこよう。

■２■外は風も強い。昨日までは徒歩開始５分で暖気するので仕方なく上着を脱いでいたのだが、下はＴシャツ１枚なので今日はなかなか脱げない。大きく振り回す手の指も冷たい。桜山の交差点で八熊通りに曲がり、そこからばずーっと道なりに一直線の道程だ。足元で踏まれた枯葉がやたらとバリバリなる。

■３■西に進む道の前方真上にここのところずっと輝いている星がある。３日に衝を迎えた木星だろう。単なる３次元空間的意味を越えて前方を指し示してくれているようで有難い。でも向かい風。電飾のついた首輪で散歩させられている犬が、嬉しそうにジャンプしてこちらに尻尾を振るので手の平で応える。

■４■そういえば禅宗には｢歩行禅｣というものがあるらしい。朝読経した後、それをしてから坐禅をするんだとか。曹洞宗では｢一息半歩｣といって、一息で足の幅半分ほどをゆっくりと歩くのだが、臨済宗では｢走り経行(きんひん)｣とも言われ、ササッと動き時には走るくらいの速度で歩く。あれ、似てるかも。

■５■５時34分、あおなみ線の荒子駅に着いた。始発は47分。まだまだだ。しかし駅は開いている。止まると寒い。目が不自由な人のために、入り口でピンポーンというチャイムが鳴っている。この時間の改札は無人らしい。洗面所でゆっくりＴシャツを着替える。そういえば今日は上着を１度も脱がなかった。

■６■風が冷たいので階段下にいる間に、ホームにはもう20人ほどの乗客がいた。。東の空はもう赤み始めている。一番列車が新荒子方面から来る。この時間だからか乗客は多く、座席もちほらとしか空いていない車内暖房が温かい。電光掲示板に笹島演奏庁とあるので驚いたが、中国語の笹島ライブ駅だった。

■７■５時58分、名古屋駅に着く。先行の貨物列車が遅れたためとアナウンスで詫びが入る。名古屋駅と名古屋港を繋いているあおなみ線は、歴史的に東海道本線の貨物支線を複線電化し高架線にして2004年に開業した路線だ。現在はＪＲ貨物が使用料を払い、旅客・貨物共用化しているという事情があるのだ。

■８■名古屋で乗り換えるのだが、折角だからと外に出て写真を撮る。構内を行き交う人々を見続けていたかったが、寒いので帰路に就く。帰りの駅や車内も段々面白くなっている自分に、今日ようやく気が付いた。夜と昼の狭間の朝はベシカパイシスのようにどちらでもある。御器所はもうすっかり朝だった。

20241107 Thursday