■１■「戯れに母を背負いて三千里」今はそんな気分だ。もちろん石川啄木の和歌「戯れに母を背負いてその余り軽きに泣きて三歩歩まず」とエドモンド・デ・アミーチス原作の「母を訪ねて三千里」の混交だが、今日はそれくらい心は動転した。振り返ってみなくては。まずはいつも通り、午前３時前に出発。
■２■御器所から吹上まで行ってから国道153号線(飯田街道)に沿って中央本線をくぐり、最高不倒達距離を伸ばすべくＪＲ中央線をくぐり、広小路通り交差点に到達した。そこから地下鉄新栄町ある十字路に出てぐるりと写真を撮ってから帰路に就く。ただ同じ道を帰るのはつまらないので、別ルートを選択。
■３■前もって調べておいた太い道を辿れば鶴舞のイオンタウン千種に出るはず。あれ、入る道を見過ごしたかな？まあいいや、大体方向は分かるから。この通りは栄に続く広小路だからどこかで左に曲がればいいのだ。ここは車で通ったことがある。錦通葵２丁目の信号がある。まあこの辺で左折してみよう。
■４■夜だからか見たことのない風景ばかりだ。カトリックの大きな教会がある。ここは確か義妹夫婦が結婚式を挙げたという聖ペトロ・聖パウロ何とかだ。こんなところにあったのか。水筒先北という信号がある。愛知県東警察署と東区の消防署がある。あれ、千種区じゃないの？ひょっとして道間違えてる？
■５■ここどこ？気が付けば全く知らない場所だ。時間はもう１時間を過ぎている。山口町、赤塚…とりあえず後で調べるために交差点の信号だけは撮っておく。個々の通りは善光寺街道っていうのか。長野の善光寺まで続く道か。スマホを使えば現在の位置が分かるが、それは意地でも使わない。どこなのだ。
■６■徳川美術館の看板が出ている。芳野１丁目、白壁、主税町…。さすがに真逆の方向に来ていると気づく。とうに小走りを入れる余裕もない。まあ、旅はいつか終る。終りが死ということもあるよね。いや、山中呪ないんだから迷子になっても死にはしない。名古屋城方面への案内板を見て、とにかく左折。
■７■道端に人が倒れている。酔っ払いだろう。前を女性が歩いて来るので素通り。しかし気になって引き返してみた。若い女性が横たわる男を覗き込んでいる。「大丈夫そうですか？」と声を掛ける。「酔ってるみたいです。」取り敢えず横の壁に寄り掛からせる。応答があるので安心して、また迷子に戻る。
■８■声を掛けてくれていた女性の優しさにほっこりしつつ、ついに道路標識から鶴舞公園への道を発見。道端で猫とも遭遇する。千早と書いてある。知っている地名だ。鶴舞駅前の立体五差路に出る。この道だけは歩いていなかった。既に２時間を過ぎている。駅のＪＲ乗り場も既に動いている。まだ歩ける。
■９■最初の頃は鶴舞公園が往復の目安だったけれど、今日はもう図手に帰ってきた感のある土地になっている。でもいつもの山王通はつ折らず、公園のなかを通って帰る。帰ったら写真を繋いで地図でルートを確認しなくては。２日分は歩いたな。それでもたったの一万五千歩。２時間40分。まだ朝は来ない。
20241025
Friday
|