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■１■車が路面の水分を押しのけて走るシャーッと言う音で目が覚めた。窓の外を見る。雨が降ったらしく、路面が濡れている。今日は北に向おうと思っていたのだが、やはりこの方角は雨に祟られるのか。天気予報を見る。４時から降ると書いてある。今夜は前倒しで２時35分ちょいに傘を持って外に出る。

■２■霧雨が降っとるやないかい。まあそんなに気にならない程度だから、傘を差しながら歩く。まずは川名方面に東進すると、檀渓通りに出る。そこから愛知県道30号関田名古屋線という硬い名前の基幹路線を北進し、行けるところまで行って、戻ってくるというのが今日のプランだ。パラパラと雨が降る。

■３■急いては事を仕損じる。仕損じばかりではないが、いつも３次元では前のめりだなと自覚する。歩く足が速いのはこの性格からだ。約束の時間より30分前に着くように行動してた。20年以上前名古屋人はパーティー等はは約束の時間より遅れてくるのがマナーと言われて、１時間のギャップに愕然とした。

■４■｢本降りになって出て行く雨宿り｣という江戸川柳があるが、個人的には本降りの前にと出発したのに、定時に出れば晴れていたというパターンが多々ある。今日も早足や小走りを小まめに入れつつ前のめりに歩き、35分で姫が池と言う交差点まで行ってからＵターンし、車線の反対側を歩きつつ戻った。

■５■帰宅後に地図を見ると、名古屋高速２号線を越え、地下鉄東山線を越え、覚王山の日泰寺近くまで行っていた。覚王山日泰寺はタイ王国から寄贈された仏舎利(釈迦の遺骨)を安置するため、1904年(明治37年)創建された超宗派のや寺で、｢覚王｣は釈迦の別名、｢日泰｣の名は、日本とタイ王国を表している。

■６■観光案内は別にいいのだが、個人的には間は無き母が名古屋に遊びに来た時、ここ覚王山日泰寺を訪れて｢自分は昔この界隈に住んでいたことがある｣と言ったので驚いたことが思い出される。名古屋には無縁だと思っていたのだが、終戦後若い娘は進駐軍に晒されないよう集団で一時移住していたと言う。

■７■個人的には自分も名古屋に住むとは全然思っていなかった関東人だったので、何かと目に見えないご縁があるのかもしれない。歩き始めたばかりの頃は１時間余りでここまで往復することはできなかった。往復８km余りだから、小走り交じりで時速８kmというところか。帰路は最後まで雨は上がっていた。

■８■今夜は月齢20の更(ふけ)待月には完全にフケられたと、濡れる路面を見て思う。結果論的には、定時の３時スタートなら傘も不要だったわけだが、そんなせっかちな自分も嫌いではない。状況に強いられるのでなく、急くのも急かされるのも自分だし、その自分と未自分が重なるのがこの肉体なのだから。

20241023 Wednesday