■１■２時48分、３時を待たずに歩き始める。今日は北に進み旧名古屋ドーム(現バンテリンドーム)までの往復を試みる。いつもより空が明るい。しかし夜明けが近いのか？とかと惑わされてはいけない。こういう時は天候に注意だ。雲が低く垂れさがって空を覆い、町の明かりが反射して白っぽく見えるのだ。
■２■北方向に歩き始めると雨の確率が高い。今日も傘を持って行くか迷ったのだが、自らの運を信じてスマホ１つ持ってスタートした。すぐパラパラと雨が…。平安時代以降、｢かたたがえ｣という風習がある。卜占でその方向が良からぬ時、一度別方向に出向いてから改めてそちらに向かうあれを考えようか。
■３■しかし吹上に着く頃はもう止んでいた。自分は自分に守られていると勝手に思う。最近は距離を稼ぐためにちょっとだけ走る。膝の負担を減らすために少しだけ腰を落とし、とにかく手を振る。すると体はぐんぐんと前に進む。競歩スタイルで息が上がるのを押さえる。無理をせず電柱間のプチダッシュ。
■４■ドーム球場は20〜10年前辺りに落合博満氏が中日ドラゴンズの監督をやってリーグ優勝を何度もしていた頃、私は特にファンでもないのだけれど、愚妻に何度か連れて行かされた。吹上・今池を抜けてひたすら道なりに行くと右手にある。歩道橋を登ってからずーっと真直ぐ入り口まで道が伸びている。
■５■ちょうど３時30分だからいい感じのペースだと思っていたら、雨が落ちてきた。そのうち止むだろうと思いつつ帰路についたのだが、何か一向に止まない。それどころかザンザカ降ってきた。初めての雨量。この雨はヤバい。眼鏡にはりつく雨粒で前が見えなくなる。雨宿りするにはもう濡れ過ぎている。
■６■それに止まっていると体が冷える。濡れたまま歩く。小走りする気力も失せる。スマホを濡らすまいと入れたＴシャツが濡れ、持つ手も濡れる。自分の体が地上ドローンのように夜の中を進み、自分はそれを安全なところから見ているような不在感は吹き飛んで、この体のあるところが生きる現場になる。
■７■15分ほどで雨足は遠のいた。しかし服が雨を含んで体の動きを摩擦で縛る。水分が結構重い。街路樹の中でツグミが集団でチャットしている。今後は季節的に防水系の服も考えるか。雨が止んだので時間合わせのためにダッシュを増やす。ようやくなじみ深い街並みに入る。雨降る未明の町中を歩く視座。
■８■朝風呂ならぬ未明風呂は乙なものだ。よくぞ日本人に生まれけりだ。ガスがあり水道があり電気がある日常生活の有難さ。風呂場でぬるい朝ぶろを終えると、窓から入ってくる風が涼しい…というより少し寒いくらいだ。coolとcoldの間のcooldって感じ｡そんな単語はない｡そして夜明けはまだまだ先だ。
20241006
Sunday
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