■１■殺人的な残暑が続く。もうすぐ終わりらしいので、そろそろこのただ不快な<猛暑>の感覚を、冬場のために体を通して脳内にしっかり記憶しておこう。次に来る真冬の<極寒>時に思い出すためにだ。これは単なる妄想でもここでだけで教える秘伝の知恵でもなく、人間なら普通にできる無料の記憶活術だ。
■２■妄想力や想像力は誰にでもある。今日の立ち眩むほどの暑さの中でも、ただ萎えつつ環界を呪うだけでなく、皮膚が痺れる真冬の水の冷たさや背中に食いつく寒風を、遊びの感覚で自らの心身上に想起してみよう。記憶と現実の感覚が自らの中で混合相殺して、人間なら少しは楽になるのではなかろうか。
■３■誰にも迷惑は掛からないし、ちょっとでも機能したら電気代もかからないし丸儲けだ。できなくても特に問題ない。環世界の情報を自分だけ書き換え、キショいと思われぬ程度に言葉でその涼気感覚を周りの人に領域展開すらできそうだ。まあでも自己催眠的なので調子こいてやり過ぎずほどほどにだが。
■４■意識の中の冷暖房装置。現実逃避でなく、既存の現実と言われているもへの楽しみながらの侵攻。余程のことでない限り、程度の差こそあれ人間ならば誰でも可能だし、この手の脳内エアコンは<個>としての人間の意識の在りようを日常的に考える月並みな特性の１つに過ぎない。ＡＩには無理だけどね。
■５■ここまで書いてから、明日の９月22日が今年のお彼岸の中日、或いは秋分の日だと気がついた。暦を作ったりそれを暦の上で見たり考えたりするのと、それが示し表わしている生命時間の中でまさにそれを味わい生きる事とは、思考だけでは乖離している。それを正に意識的に生きることで思考も生きる。
■６■「暑い時は暑い、寒い時は寒い」で、暑さ寒さに文句を言わずに自然に沿って自在に生きろというのが、先人の知恵の１つだったけれど、今は「暑い時に寒さの記憶を、寒い時に暑さの記憶を自らの内で楽しく相殺させてみよう」と言ったりする。暑いと感じるのも寒いと思うのも、何という自由だろう。
20240523
Thursday
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