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■１■眼前の１つこととして見えているものごとを、左目で過去の立ち現れと見つつ、同時に右目で未来の反立ち現れとしても見る。これはもちろん即物的表現ではなく暗喩だが、実際のところ視神経も交差している。接続先の右脳と左脳側から交差して視神経に伸びているとも言える。言葉を自ら超えさせる。

■２■立体裸眼視はちょっとした自己操作でできる。平行法と交差法があるが、より立体的に見ることもできそうだ。過去と未来を同時に見る。開眼空間と閉眼空間を半眼同時に見る。過去から未来に流れるものと、未来から過去に流れるものを、実は常に眼前で交差する日常の上に暗喩を超えてまさに｢見る｣。

■３■通常の眼前世界を立体裸眼視するために、左右の眼を交互に開け閉じして見れば、既に日常世界を立体裸眼視していることに気づく。あまり勧められる方法ではないが、コンタクトレンズを片方だけして、街中で歩きながら左右の眼を交互に開け閉じして見る。吐き気を超えればそれすらいずれは慣れる。

■４■統合には第３の視座が必要になる。｢第３の目｣も単なる物質的器官なのか暗喩表現なのかという自問には、どちらでもありどちらでもないと自答できる。暗喩の物質的痕跡。化石は悠久の時間を掛けて生成されるものと解釈だけでなく、発掘された時に瞬時に形成されるという捉え方も無矛盾でありうる。

■５■日々刻々、過去の記憶を至福と共に想起する贅沢。思い出すには先ず忘れている必要がある。思い出し、忘れ、また思い出しまた忘れ、また思い出す。この時間感覚に沿った自作自演の戯れをはみ出す時が来る。過去の中に未来はあり、未来の中に過去がある。日々刻々未知なる未来にはみ出すこの瞬間。

■６■狂気の妄想に足を掬われないよう意識を踏ん張って正気を保つ時間は必要だ。それは身体的トレーニングと同様に、過度にはまると脳マッチョでなければ不安になるだろう。朦朧とした意識で生きていれば、自分は人並みに正気を保っていると考える。たまには微毒妄想も摂取する健康な印象食の意識。

20240622 Saturday