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■１■幸せな一生とは挫折や絶望感を持たずに過ごす生き様のことではない。自らの偏性や環境によって行く手を阻まれ、自らの努力と周囲の助力によってそれを乗り越えたり迂回したりしつつ、肯定的に自他の世界を広げ行く生き方の軌跡総体のことだろう。逐次たる思いや慚愧すらもまたそこにある豊かさ。

■２■幸せを感じる時は幸せという言葉に固執している暇はない。事細かく記録された幸せとは、幸せだった時の反復回想であり、幸せだった時は記録は不要だ。むしろ記録する作業により幸せは霧散する。天災や戦争や疫病や悪政による不幸な記録群の裏には、記録されなかった多くの幸せな一生たちもある。

■３■環境その他に生まれてから１度たりとも捻じ曲げられたり悲哀を感じたことがない者はいないだろう。衒学的表現ではなく、それを感じたことがない者がいたとしたらまさにそのことが最大の捻じ曲げられる原因ですらある。与えられた環境や状況の自分自身から常にはみ出し続けて生き行く気概を望む。

■４■フィボナッチ数列の初項と第２項の１は(－１)2と(＋１)2なのではないか？と考える子がいた。それをただ数学的誤謬だと嘲笑する者は、その子が数字を思考や発想の一要素として扱っていることが見えない。虚数や素粒子や超光速を比喩として語る事全て鈍愚なのではなく時、問題はそのセンスなのだ。

■５■意識の中には、思考や知覚にカウンターを当てて「気づくまい」とする部分がある。子供の頃怖い場所を夜１人で歩きながら、怖いことを見るまい聞くまい感じまいと働く部分が機能していた。その能動的視野狭窄とでも言える部分が今、無意識に沈下したまま安直な道ばかりを選ぶ機能化していないか。

202400621 Friday