■１■名古屋駅前で交通事故があった。目撃した高校生達が人身は免れた事を知り｢よかったあー｣と歓声を上げる。私の脳裏に昔の記憶が蘇る。渋谷の交差点で信号無視の中年男性が車に轢かれそうになった時、目の前のＯＬが思わず小声で｢あぶないっ｣と口にした。人間が好きになる瞬間と瞬間が時を経て重なる。
■２■自由に旅をできる者が未踏の地に初めて足を踏み入れた時の感動と、長年幽閉された狭い牢の中で陽の当たる床に始めて見る植物の芽を見つけた時の感動の優劣を誰が下せるのか？個体内での血液中のアドレナリンや脳内快楽物質生成量で比較するのだろうか？前者と判ずる愚か者は世界という檻の中にいる。
■３■小さな子供が初めて異国の地に降り立った時の不安と、経験豊かな旅行家が未知の平原を生死を掛けて走破すべき時の不安。前者に降者がその不安は無意味だと言いきらぬ優しさ。繰り返し経験する事でパターンを掴み、メタパターンの認識に向かう者もいれば、経験の中にゆっくり安寧退化しゆく者もいる。
■４■体が進みやすい方向を前方と名付けただけなのに、過去もまた後頭部の方向にのみあると誤認されがちだ。日本語は時間と空間が一部反転している。前世は未来にないし、後世は過去にはない。むしろ個体の前方に過去はあり、後方に未来があるとの表現が斬新だ。身体と言葉と反転の三重点の三重点問題。
■５■今朝｢段違い討論会｣という夢を見た。一方には相手を思えばこその能動的ハンディがあり、相手側はそれを理解せず自方の正しさを主張する。勝ち負けではなく、その全体構造を理解する観客の視座が確保されている。最終的に相手側も論理階型の差異に気づき、その由来が慈愛ゆえにと気づく討論会。喝采。
20240523
Thursday
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