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■１■時に自分の体がただ「動く」という事実に喜びを感じることがある。アスリートや武術家や健康身体の専門家では全くないのに、それでも「自らの身体と思い込んでいる私でありつつ私ではないこの素晴らしいもの」が、滑らかに重心を移動させつつ歩き、曲り、立ち止ることに静かに驚き喜ぶ瞬間がある。

■２■思い通りに体が動かない時はかつてあった。それが痛風であるという客観的評価を頑なに無視しつつ、１カ月ほどはトイレが常に百ｍ先にあり、人々はなんと美しく滑らかに歩くのだろうと感動した日々。その間は大地震などの天変地異は身辺では決して起らないという、あの根拠のない確信は何だったのか。

■３■様々な世界中のニュースを浴びせられる現代生活において、世界中の悲惨な戦士や市民や子供たちの問題はもちろん無視できない。しかしそちらに目を奪われて、すぐ隣にいて苦しみ哀しんでいる人達を真剣に見ようとせず、手を差し伸べたり、ただ微笑んだりすらできずにいるなら、個人的内戦は深刻だ。

■４■この世界という世界観の中に生れ出てこの方、１度たりとも本当の内である外に出たことは無いと表現する。ただ本当の外を言葉で表現しようと試みるならば、その言葉そのものの本質に心身全体で迫り解明する努力をしない怠慢は許されない。内と外のあわいのある日本語を、欧米言語的思考で語る不毛さ。

■５■過去に超常体験をした者が、別世界の素晴しい秩序と調和を垣間見たとしても、それに驚愕した当人が常に現在の人間の総体の意識の一面でもある科学の最前線を軽んじたままでは、あるいはまだ若き生命の者たちの情緒や知的斬新さに注意を向けないままでは、その主張はまだ理想的な未来と繋がりがたい。

■６■目の前の物体に自らの空間を設定して、その表裏を他者との向き付けが逆であることを足掛かりに何ごとかを語る時、その設定そのものが話の内容を説明するためだけに選択されたものである限り、そこから他者はそれ以上のものを自力で発見することは絶望的だ。提示するサンプルに未知を含ませる重要さ。

20231227 Wednesday