■１■必然と偶然。それは別に２元対立する概念ではなかろう。同一事象をある者は必然と見、またある者は偶然と捉えるように、ある世界観からは必然であり、別の宇宙論からは偶然と判じられる。必然と偶然はものの見方の方の問題であり、事象そのものは必然でも偶然でもあり、かつ偶然でも必然でもない。
■２■言葉の厄介さと捉える者もいるだろうが、それが言葉の恩寵と解することもできる。必然と偶然はそれを判じる側の問題であり、興味ない者には問題ですらない。判ずる者の視座の問題ならば、判ずる視座そのものを凝視すれば、そこにはただ｢然｣だけが残り、やがてそれも消えて行く。無言が最上の一言葉。
■３■それを弁えた上で用いるならば、様々な事象が必然と偶然というものの見方感じ方で鮮やかに彩られながら、その差異と相似を賑やかに楽しみつつ世界を見て取れるのではないか。もうとうに月満ちていて、この世界の子宮口が開きゆく今。必然と偶然が手を携えて待ち受ける新世界児に生まれ行くこの今を。
■４■日本語の豊穣すぎる言葉の重なりや綾に呑み込まれて、生半可なまま吐き出し続ける無責任さに目を向ける者はまだ稀なのだろう。ガバガバの投網の言葉をやみくもに放つ愚かさ、そしてそんな粗い網にすら引っかかる魚群。まとめて大量に打ち上げられる岸辺。見えない繋がりを見ようと虚空に目を凝らす。
■５■本当に日々一番好きな事をやっているし、やらせてもらっていると痛感するけれど、それでもしんどくて、ぶっ倒れるように寝落ちして、自らを鼓舞して続きをやるようなことは少なくない。体育会系の人が本当にその種目を好きでやっているからといって、殆どの時間は死ぬほどしんどいことも知っている。
■６■好きでなければやりもしないので、好きこそものの上手なれの果てしない過程を遅々として歩む中にいる自覚もある。まあ、正直もう少しだけ、現世的に報われても良いかなとふと思う軟弱な自分もいるけれど、そんな矮小で現実逃避したがる自分も好きなのだから他者には救いようがないねと笑う門に福来れ。
20231219
Tuesday
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