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■１■男衆に大人気の娘がいた。彼女はその美貌ゆえと思い、フートは自分の存在ゆえと考え、ある日２者は分離した。結果としてどちらも気持ち悪がられ遠ざけられた。長い流離の日々の果てに、ボロボロになった互いと出会い、泣きながら１つになった。直ぐに人気は戻り、互いは互いをニ而不二と捉えた。

■２■これは20歳前に漫画の資料として無理矢理読んだ、数巻ある『ドイツ風俗史』の翻訳本の中にあった話だ。フートと訳したのは多分Fotze(フォツェ…女性器の意味で口にしてはいけないスラング)のことだと思うが、多様性をうたう時だからこそ、その元の根源的なところもよく考えるべきかと思われる。

■３■全く統治可能な対称性を持つとは言わないが、男と女を逆にして考えても的外れではない。潔癖と清純をはき違えて、己れの性器を切除か不能にしようと考える若者は、一回りして人口過多を強制的に不能操作で変えようとする陰謀とリンクする。苦悩・逡巡・後悔・歓喜の中で人間を楽しむべき最終章。

20231216 Saturday