LOGUE-014

■１■過去の様々な自分を回顧する時、懐かしさや恥ずかしさを覚えつつ、愚かさ、未熟者さ､無鉄砲さ､傲慢さ等をそこに見出す。明らかに今はそれよりも少しだけ経験値がある。辟易することもあるけれど、余裕のない必死さに対して優しい言葉の一つも掛けたくなる。未来の自分も今の自分をそう見るのか。

■２■水と慈悲は低きに流れる。自らの過去と現在の間の慈しみの傾斜角を、自らの今と未来の間にスライドして自らを寿ぐことはできるだろう。他者も同様に自らに対して時を経た寿ぎが可能だろう。では自己他者間ではどうだろう。過去に対する慈しみのお裾分けはできるし、未来からの寿ぎも甘受できる。

■３■この認識が相互で可能ならば、今ここに共にいるという事実そのものの重要さにも気づき、直接会ったことのない過去の他者に出会え、また過去の自分を愛しむ者を得られるだろう。心理的には遠からぬ未来に目の前の者を祝福する自分を想像し、また未来からの他者の寿ぎを感じることも出来るはずだ。

■４■少しくらい妄想が混入しても良い。さらに半歩進めるならば、過去において会ったことのない、今は横にいる者と出会うことができるし、未来に会っても初見のように新鮮なまま、未知なる自己他者をそこでも初々しく味わえるはずだ。能動的な記憶書き換え。改ざんではなく時空を超えた再編集なのだ。

■５■何かこのモサモサした物言いを笑い飛ばす人なら良いが、辛気臭いと切り捨てて、時間の非対称性という幻想を突つく面白さも見逃さなければよいと思う、この愚かなる身勝手さ。互いに見合っている時に、互いに未知なる領域を纏う存在と素直に認められるなら良いが、既知という既得権は甘味過ぎる。

(※)画像はflckrの Rob Green のページより借用しました。

2018.08.02 Thursday