■１■今ポリアモリーを語りまた憧れるなら、それはそれで良い。しかし性愛がないとポリアモリーと言わないのであれば、性愛が途切れたらその関係はなくなるということ。性愛がなくても同様か、より強い人間関係があるケースもある。ポリアモリーの人は自らの未来を含めて、そこまで考える必要がある。
■２■個人のあるいは２人の至福の時間を過ごすことは悪くはないが、それは閉じている。時間的には老成と子孫に連なるか否かの決断が、そして空間的には外部社会との滑らかな連結が問題となってくる。性愛とは直接関係のない親しい人や親族のように愛してくれる人に対して感謝や信頼や敬意を持ちたい。
■３■頭がいい者や説得力のある者でなければ、ポリアモリーになれないのか？誠実さや慈しみは誰にも負けないが、説得や了解を端から取ることはしない。自分は敢えてそのような名前や概念で括られることを、自由の既得権としての価値を置いていないし、そこに時間を割かずに本当にやりたいことをする。
■４■時間が経てば、また物事の事情は変わってくる。それが大きな時の流れの中の「種」としての変化であれば、時代や人心が乱れたと老人が言おうが、人口が減少して社会が衰退すると言おうが重要関心事ではないが、不倫や浮気を対立構造として捉えて安易に否定する者の方が、より早く消滅するだろう。
■５■さもなくば、案外早期にそのような概念や言葉の存続とは別に、「自然愛」の社会もしくは人間世界が出現するかもしれない。その時に自分は、自分たちはどうするのかということまでも、ちゃんと考えイメージして生きて行かねばならないところもある。「不倫」とか「浮気」は単なる言葉に過ぎない。
■６■ポリアモリーの人とは付き合わないという者もいると思う。そしてそれはそれで問題がないはずだ。ポリアモリー（３人以上ということ）内の一人が新しい出来事を許容できなれば、その都度の修正や破局も少なからずあるはず。どうしようもない嫉妬や独占欲は、ある意味人間の本質的なものの１つだ。
■７■世代を超えて未来に続く価値観やビジョンスパンのない、自らの世代もしくはもっと狭く自分の出会った人たちだけのことを考える（まず第一にそれを考えるのは自然だが）だけの人たちの主義主張はあまり聞く優先順位を上げたくない。10年後20年後、人類の未来まで一応思考の視野に入れておくべき。
■８■批判しているわけではない。経験を積んで大人になり、人生の価値観を恋愛至上主義ではなく、より大きな意識でも世界を見ることができるようになれば「仲のいい異性の友達」というものも認められるかもしれない。性愛がそこにあろうがなかろうがだ。性愛に囚われすぎて価値観を歪ませないように。
■９■若い頃は「セックスフレンド」という言葉をよく耳にした。性欲の質と量という表現が可能だとするなら、若い頃は自らの外部からの抑圧と内部からの膨満の力学に突き動かされ、その対処にエネルギーを無駄に消費せざるを得なかった。未来にそれがなくなるかというと、必ずまた別の問題が生起する。
■10■変わるべきは先ず、社会や外の人間関係からではなく、自らの内なる男の性と女の性の動的平衡ではなかろうか。ポリアモリーを死ぬまで続けざるを得ない人もいれば、それを通過性のものとして性愛自体の衰えや価値観順位の変動により、まるで脱皮するようにポリとモノの２元から抜ける人もいよう。
■11■ポリアモリーはとても限定されていて、モードのように広く流行るような代物ではない。どこまでが当人の思想で、どこまでが生まれ持っての性質なのかを都合によって使い分けることなく、モノガミーとポリアモリー双方を見て、そして語る視座が必要になろう。誠実さと未来観がそこにあるかないか。
■12■生物学的に見れば、多くの男性が現行社会に去勢されている。ポリアモリーを否定せず、それを超えた人間関係における子育てもあり得よう。性的に未熟な若年者や性的にお役目御免の老人も含め、子供が産まれ難くなっていくのならば、それはそれで受け入れよう。それでも未来に繋がる今を生きたい。
■13■ポリアモリーを「複数愛」と訳しても良いが、モノガミー的に一人の相手と時を過ごす時期があってもよいし、若年や老年ゆえに性的関心ない時期があっても良いわけであり、一生の内に唯一者を、また複数者を、あるいは誰をも愛さないとしても、ポリアモリーと大差のない「自然愛」として括りたい。
(※)画像はflickrの Alvaro
Coleto より借用・加工しました。
2018.08.01
Wednesday
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