LOGUE-009

■１■もはや異なる次元に突入しているのだろうなと思わせる連日の猛暑の中、地下鉄を降りて県立図書館に歩いて向かっていた。途中の町中で大声を上げている者がいる。炎天下に対しての不快感だったり、社会に対する不満だったり、通りすがりの人たちへの漠然とした苛立ちだったりを自己増幅している。

■２■青空を見上げつつ考えた。街中を行く者の中には、すれ違う人達に「頑張れ！」と心で励ます人もいるだろう。野中の小道を歩く者でも、輝く木立や小川に静かに感謝の気持ちを持つ人もいるだろう。そんな者はいないとは誰にも言えない。それは偽善や欺瞞の為せる個人的妄想だと主張する必要もない。

■３■自らの世界に対する平衡感覚を保つために、そのような者の存在を笑ったり貶めたりする者もいるかも知れない。しかしそんな人達に対しても否定や嘲笑を一切することなく、「世界はあなたが考えているよりももう少しだけ明るいのかも知れませんよ」と、呪文ではなく寿文として囁く人もいるのでは。

■４■「ち」という音の作る縁脈が、血脈や地脈だけでなく、新しい世界観を創り結んでいこうとする知脈とも繋がり得るであろう方向性に向けて、呪文・呪言を少しずつでも寿文・寿言として自然に口にできるなら、おそらく自らの周囲から世界は変わっていくだろう。妄想であってもそんな捉え方が好きだ。

（※）画像はflickrの、Edd Allen のページより借用・加工しまた。

2018.07.24 Tuesday