LOGUE-008

■１■種の保存という傲慢が、社会的慣習を身に纏って顔を出す。男らしくあれ、女らしくあれ。結婚しろ。子を成せ、育てよ。家を継げ。ある意味、それも自然。しかし未来を向いているようで、過去ばかりを眺めている。そこに生起する喜怒哀楽は、順列組合せに陥って久しい音楽同様、新しい道筋はない。

■２■はみ出して行く者には保護もなく、新しい視座には奇異なものとして価値を置かない。既存の社会保護や価値観に寄り添いながらの独孤屹立は有り得ない。種の保存と安定のために、親と孫の間の中継ぎとしての役割だけを強要されたなら、喜ぶ者もいれば、苦痛な者もいる。語り合って役割を分けよう。

■３■君の悲しみは君だけのもの。そう歌う者もあれば、君の喜びは私の喜び。そう主張する者もいる。どちらも本音ならば、どちらも尊べる視座を持とう。ミラーニューロン関連の出来不出来は差違として歴然とある。種の保存と種の進化すらも矛盾するものではない。自分自身の中にも新旧混在を認めよう。

■４■炎天下、図書館前の長い舗装道路の上で、渡ろうとしたミミズたちが死んでいる。干乾びてと延々と。人知れず演じられていた死のドラマ。それでも道の向こうまで辿り着いたものもいただろう。かつて水中から大気中に上陸したものたちがいた。今また更なる次元へと迷うことなく進みゆく次元両生類。

■５■自賛するでもなく、使命感に浸るでもなく。多分一番そうしたいからであり、そうすることが一番自分にあっていると自認しているのだろう。自らを人体実験に用いている確信犯的ＲＰＧ。皆が真似する必要はない。あれも我もあって全体。差異を尊び相似を信じ、他を否定することもなくただ進み行く。

2018.07.23 Monday