#035　アクアイグニス 片岡温泉

■10年ほど前に訪れて(※)非常に好印象を得た、三重県三重郡菰野町にある片岡温泉がリニューアルしたという話は随分前に聞いていたけれど、今回ようやく再訪することができた。いや実際には近鉄湯の山線を跨いで反対側に移動していたので、正確には初訪と言ってもよい新しい温泉施設に変わっていた。

　　(※) http://metatron.la.coocan.jp/zone-18/213bite.htm

　　　

■まずこのとっつきにくい「アクアイグニス」という名前から突っ込まねばならない。ラテン語でアクアは水、イグニスは火を意味する。水と火から温泉と男女までイメージさせ、菰野町の折り鶴伝説まで引っ張り出してのネーミングだ。温泉と施設形体は高評価するが、個人的には不細工な響きを感じる。

■それはまあさて置き、片岡温泉そのものは施設も湯質も湯の用い方も素晴らしかった。これで入浴料金が600円で据え置かれているのも有難い。エントランスからカウンターまでのアプローチは綺麗で落ち着いている。脱衣場は…まあ普通だ。浴室に入ると、まず湯が溢れ出ている丸い掛湯桶がある。

　　　

■そしてまず外が眺められる横長の広い内湯がある。少し熱めの湯だ。天上は檜である。窓の外には竹林がある。冬だからか少し立ち枯れ気味だ。お湯は湯船もシャワーも加水・加温・循環・添加物一切無しの源泉100％かけ流しだ。午前中だったこともあるが、湯船の広さに対する客の少なさも心地良い。

　　　

■竹林を模した外に出ると、３種類の露天風呂がある。細長い作りの階段風呂、浅い湯に横たわる寝湯、そして直径３メートル以上の実にゆったりした桶風呂である。寒風の吹く外風呂の一番奥にあるので余り人が来ない、掛け流して縁から湯が溢れている桶風呂の独占は、実に贅沢な気分にしてくれる。

■温泉分析表によると、湧出時の湯温は45.2度Ｃで、湧出量は毎分780ml。無色無臭でわずかな炭酸味がある。pHは8.5のアルカリ性単純温泉だが、豊富な湯量と共に実に体にしっくりくる。適度なぬめり感があり肌に優しい、いわゆる「美人の湯」の湯質である。何よりもおしみないあの掛け流し感が良い。

　　

■湯上がり後はゴロゴロクッションがある休憩所で寝ころぶのも気持ちいい。遊び心は余裕の表れだから無いよりあった方がよいが、それでも過度のアートやデザインに囲まれると、自分の趣味と合わない場合は苦痛を感じることがある。まあそれを差し引いても素晴らしい片岡温泉である。

(※)画像は片岡温泉のＨＰ及びネット上から借りてきました。

2014.02.06 Thursday

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