#181　整形美男美女はもう古い

■１■日本にも韓国ドラマやＫ−ＰＯＰが溢れている。そのこと自体については特にコメントしないが、少し美男美女が多すぎる気がする。さほど抵抗なく整形手術するという文化的背景もあるのだろう。しかし今の日本はもう物語や容姿そのものの美男美女ばかりという価値世界を超えた次元にあると感じる。

■２■昔の悪友Ｇとの会話。彼は日常風景の中にブスが露出するのは犯罪だと言っていた。視覚的に不快なものに晒されない権利が誰にでもあると主張した。勿論冗談半分のボーイズトークだが、身づくろいもせず、悪臭を放ち、奇声を発する者が眼前にいたら不快な事実の線引きはかなり難しい問題だった。

■３■彼はさらに続けた。「ＳＦでなく現実的に整形技術が進み未来は美男美女ばかりになるだろう。」そこで私が突っ込む。「するととこで価値観が反転する。皆が美男美女なら醜男醜女と言われていた者が希少でありかつ自然のままということから、むしろ注目され価値が上がるのではなかろうか？」と。

　　　

■４■彼は言う。「なるほど、美的価値観は時代と共に変遷する。整形の有無に関わらずその時の美男美女は、他者との差異を強調するためにそれまでの価値観から外れた容貌に整形する可能性もあるな。俺たちから見るとただの醜男醜女だとしても。例外も一応認めるが、まあ基本、美容整形は邪道だな。」

■５■40年近く前の古い馬鹿っ話だ。しかし基本的に私は今でも、美容整形だけでなく外科手術やインプラントなど、身体にメスを入れたり異物を封入することに対して倫理的拒絶感がある。事故や奇病等の生命に関わる緊急時のケースは一応別枠に置くとして、基本的には輸血や投薬も好ましいとは思わない。

■６■身体改造による心理的安定は別として、ビジュアルだけ好ましいと感じる身体への改造が可能になってきた現在、その美的価値観自体がすでに陳腐で時代遅れになってきてているのである。…と最近は腹も出てきたしイケ面でもない私は、無意識の僻みを否定し切れぬまま思うのである。もうＧのいない秋。

2011.09.21 Wednesday