#156　2012年を抜けて2013年の中に

■2012年に世界が滅亡するなんてマヤンでは一切言っていないのに、愚鈍な未来学者や、世間を混乱させて面白がる無責任な輩や、不安と恐怖で世界を操作したがる陰謀家や、無責任で感度の悪いチャネラーたちなどが束になって真実っぽく騒いでいる。マヤ暦と結び付ける愚者に踊らされる者も愚者である。

■2013年以降という表現にも世界的に時差がある。そこにはその先が見えない壁があってほとんどの予測が意味を成さない未知の領域であると表現されていた2012年の冬至の向こう側に、現在の日本はすでに入り込んで５か月が経っている。しかしまだ突入した次元の狭間・界面を通過中であると考えるべきだ。

■マヤンとは別の様々な科学的予測やデータのカタストロフィモデルのポイントが大体2012年頃に収束するという統計学的数値は実際に多々ある。マヤの13バクトゥンの切り替わりと重なるというインパクトを確信犯的に混入させることのない科学的データや言説は、マヤの精緻な暦構造と同様に価値がある。

　　　

■経団連やら日本政府やらアカデミズムは取り戻せない過去を再現しようと足掻いているがそれは不可能なのだ。５か月前までは幼虫だった日本が、今はサナギの状態で羽化への急激な変容の真最中なのだ。過去の恒常性はもうとうに手の中になく、それなのにまだ未来の確たる方向性を捉えてもいない。

■みんながみんな現在の危機に対する生き残りに血道を開けてもその先は暗いままだ。既に乗り切った後の人間の新しい世界に通用する世界観や個人の在り方、そして新しく共有できる「知」の在りようを模索することは、現実逃避や砂上の楼閣ではなく、人間に対する強い信頼の上に成立していると考える。

■他者の信教の自由や信念の表出には敬意を持っており、とやかく言うつもりはないと前置きした上で敢えて自らのことを言わせてもらえば、私は私自身がお盆や先祖供養や墓参りなどに関与することにはほとんど何にも価値を置いていない。死者は常に生前からずっと私のすぐ傍に居続けているのだからだ。

　　　

■輪廻転生という言葉と概念は知っているつもりだし、そのような解釈と世界観においてはそのような解釈も有り得るだろうことは認めるけれど、その前提でない世界観ではそうでないという解釈もあるということは、思考限界を行く上での第一橋頭保である。ただしそこからは単独踏破の勇気が必要となる。

■単独踏破行において必要なのは極力共通言語で発信するということだ。ひとりよがりの造語や概念添与は極力控え、後に訪れるかもしれない人たちに対して不必要な負荷を与えぬよう心掛けながら、未だ表現できないものを翻訳するつもりで誠意を持って書き記すということ。口下手は言い訳にならない。

2011.08.15 Monday