#066　江ノ島と現代の「無知の知」と

■１■神奈川県江ノ島のデッドエンドにある「冨士見亭」に来ている。橋のかかっている陸側からは一番遠いお店で、その断崖に一番近い角の席だ。江ノ島に来ると帰りに必ずここに寄る。西に傾きかけた逆行がまぶしい。見晴らしの良いコーナーは船の舳先のようだ。今日は地震がないとお店のことの会話。

■２■海風強し。さしみにビールに漬けものでしばしひとりごちる。今日も江ノ島の猫軍団にあちこちで遭遇した。猫たちは心なしか元気がない気がする。地震の影響と考えるのは主観に過ぎるか。ここに大津波が来たらとつい考えてしまう。江ノ島自体が１つの海の要塞として不動ではあるけれど。

■３■腹が減ったのでしらす丼を注文。生と茹で上げたものとどちらがいいかと聞かれて迷っていると、半々にもしてくれるというのでそれを頼む。高みから海を眺めながら食う飯の美味さは格別。しかもお店１人でほぼ独占中。断崖越しにトビが風に乗り、手の届くような距離の窓の外を漂っている。

　　　

■４■今日はしばしの休息。江ノ島の多数の野良猫軍団と会い、画像に納まってもらった。江ノ島は猫の島でもある。猫好きの人はぜひ島内いたるところにおわす猫軍団を見に行くことをお勧めする。ドタバタとでなく静かに近づけばほとんどの猫の体を触ることができる。多くは箒のような江ノ島しっぽ。

■５■洗脳支配されていることが当人には分かり得ないからマインドコントロールなのである。誰しもそれを明確に自覚できないことをせめて「無知の知」的にでも自覚すべきであろう。自分が最高に賢いと増長して、そのようなものには決して惑わされてはおらぬと自認する者こそが無自覚な羊なのである。

■６■自覚できないものをどうやって自覚するというのか、それは単なる衒学的パラドクスだ！などど主張する輩がいるかもしれない。パラドキシカルな表現が単なる矛盾や誤謬として解されるしかない論理そのものの限界を自覚し、それを自ら超えゆく方向を各自で見出すべきではないかと問うているのだ。

　　　

■７■無数に張り巡らされた目には見えない目論みのジャングルの中に生息して、自らの思考と直観（決して直感ではない）で判断し、他者の恐怖や不安を煽る言動や情報に右往左往されて心理的にも押し潰されることのないように。自らの今までの生き様の総体としての今後の進み方を他者に委ねるなかれ。

■８■極端に言えば、現今出回っているレベル７という、出荷規制されてただ潰捨された野菜のように私たちの未来を潰殺しかねない情報の総体すらも疑うべきだ。現実はしっかり認識しつつ、乱れ飛ぶ情報を処理し切れずに、紛れ込まされたダミー情報に心をやられ、放射能以上に身体を破壊せぬように。

■９■半世紀に渡り騙され続けてきた者が、今全てを知ったと思うことは危険だ。真実を正確に知ろうと謙虚になるならば、今この時もその壮大な偽りと策謀の渦中にあると考えるのが妥当だろう。掲示板のコメントや海外からの情報やにすら侵入して嘘を混入する、下っ端監視者どもも見抜かねばならない。

　　　

■10■平和ボケから超不安へと心の舵を急激に切らせているもの、個々人の意識の中にまで食い込んで絶望的な恐怖に晒させ続けているもの、寄生虫のように離れないそれに対してすらも、自暴自棄や無力感や諦観や絶望などに堕することなく、心を強く持ち、腹を据えて立ち向かわねばならないだろう。

福島第一原発４号機のプールには1331体の燃料集合体がある。11×11×11だ。

2011.04.13 Wednesday