#064　個人の中の日本的資質…12言塊

■１■「日本にはお上のなせることと言う体質がある」という表現は、否定的のみに捉えるべきではないのではないか。逆説的だが、自我や義務や権利や平等を主張しなくても、利他や博愛を有している。ただお上が賢政だと文化も爛熟するが、愚鈍だと民は悲惨である。残念ながら戦後もずっと愚鈍だった。

■２■言語化するだけでも歪みかねない日本人の共通叡智や慈愛精神というものが、劣化した世界標準に合わせてきたことで、その伝統的な素晴らしいところが削り取られなし崩しにされてきている。世界標準の諸形態の最高を目指すのではなく、日本独自の形態の模索と提示こそが国際貢献なのではないか。

■３■こういうと多くの学者は「では代換案を提示せよ」と主張する。未だ明確にならぬうちは根拠なき迷妄であると切り捨てる。現行の学問の在り方自体にもその問いかけが及ぶことを器用に捌きながら。まつりごととまなびごとは、今あるがままでは共にままならぬ。共に内部から変容すべきではある。

　　　

■４■外部から民主主義を標榜するふりをして実験場として偽形成され、結果として理想からは最遠形態とされ、もはや分かちがたき外部との癒着を見極めてから、その中心に操りやすい無能なる「お上」を据えられた。賢明な民と愚鈍なお上からなる、日本人的ではない衆愚政治形態の出来上がりだ。

■５■日本には西洋的民主主義や個人主義がそぐわないのは自明であろう。資本主義も共産主義も自由主義すらも。もちろん国際社会と共生しながら進む必要はある。過去の日本的資質や伝統のみに固執するのは単なる独善である。しかしその日本的なものを再見して各所に新生して示す必要はあるだろう。

■６■もう間に合わぬかもしれない。しかしまだ間に合うかもしれない。かようにギリギリのところでなされる研究や思考や討議や協力は生命力を持つ。眼前風景を他人事として眺め、責任所在を外に定め、自助努力を怠り、自身の保持保安にのみ腐心する輩は、日本人の本質を相当に破壊されている。

　　　

■７■私は決して国粋主義者でもなければ、現状の醜悪さを数え上げて憂さを晴らしする手あいではないと自認する。ゆっくり落ち着いて考える余裕なき昨今ではあるが、ややこしいといわれるかも知れないが、「日本人」という表現は人間種全ての中に存在する資質の暗喩でもある。日本はその射影だ。

■８■日々刻々状況は変わりゆく。客観的視座から見れば、よからぬ方向に少しずつ沈潜しつつあるようだ。しかし客観視が即真実ではない。未だ活路を見いだせないままではあるが、不屈の精神で未来を構築しようとする多くの人がいる。反転すべき今後の道筋は、各人の生命主観の奥深くにこそある。

■９■「それ」は余りにも巧妙に仕組まれているので、そのようなどす黒いものなど本当はないのではないか？とか、個人の手には余ると考えることを放下してしまうようにまで作りこまれていると感じられる。自分の現状に対する反応すらも条件反射的である限り、予測され利用され、動かされかねない。

　　　

■10■ＴＶや新聞は目を逸らす情報ばかりだ。巨大なマインドコントロールの背後にいる「原子力ロビー」が日本の中枢に断ち切りがたく食い入っている。やがてそのさらに背後にいるパペットマスターどもにすら追求のてが及ぶ日が来るが、それでは遅過ぎる。自分の現意識をも再チェックすべし。

■11■自粛も募金もデモもネット書き込みすらも、自分より賢い連中の想定内で踊らされ転がされている可能性がある。「ではどうすればいいのだ？」は多分正しい方向への問いではない。それを杞憂と切り捨て思考停止するなかれ。実際にブレイクスルーを構築している者もいる。無知と絶望は敵だ。

■12■個人的にはずっと「国家」には属さないと公言してきた。理想的な国家の話ではない。現在の日本国の仮面を被ったエセ国家の洗脳的支配からはもう軽く抜け出して、本当の国家、日本などを己れのアイデンティティーと重ねるべき時なのでは。私はそれすらするつもりないから説得力ないけれど。

2011.04.11 Monday