#016 ｢時の箱｣の特性を見る(2)

竹ひごで作った｢時の箱｣の基本形態と菱形12面体

■１■綿棒自身が重なって動きにくい稼働領域を広げるために、竹ひごで｢時の種｣モデルを作ってみた。一番最初に鞄の中で勝手に変形してしまっていたのは２倍体の正４面体の形状だが、畳み込んでしまえば意外とシンプルだ。次は８本集まる頂点を外側に最大に引っ張り出した時の形で菱形12面体である。竹ひごバージョンだと、ぼやけるがラインがシャープに。

■２■綿棒バージョンだとぼやけるラインが、竹ひごバージョンだとシャープになる。正４面体ができるのだからケプラーの星形８面体も簡単にできそうでだが、新たに立ち上げる正３角錐(正４面体)の綿棒の本数が異なるところに要注意。そして意外なのは５重回転対称性の正20面体にも変形するという事だ。

静止画像と文字列だけで説明は難儀だが、実際に触れば何とかできてしまう

■３■この｢時の箱｣をさんざん動かしながらガン見していたら、実のところベクトル平衡体が３重に組み合わさった構造をしているという事が分かった。実際に３つのパーツが絡み合っていることが分かり易いように、全体を３色に着色して作った｢時の箱｣で見ていこう。先ず基本は１対の正方形を両手で持つ。

■４■そしてその正方形を左右軸に沿って押したり引いたりすることで全体が変形する。正方形の４辺にはそれぞれ正３角形が付いており、その頂点同士が接合することでその間に大いに変形する菱形が４つできている。その正方形２つを繋ぐ菱形は、正方形を軸に沿って動かすことで正方形になる位置がある。

■５■その位置で止めると、その連動する24本からなる立体パーツは、頂点12、稜線24、面14(正方形６＋正３角形８)のベクトル平衡体になる。他の２つのセットも同様に定まる位置がある。つまり如何に変形しようとも、この72本からなる立体は、ベクトル平衡体が３軸直交の方向に相貫しあう多胞体なのだ。

関連動画⇒YOUTUBE
　　■029;「時の箱」について(1)
　　■031;「時の箱」の新発見
　　■033;｢時の箱｣を様々に変形する

re-edited on 20231206 Wednesday