E010

■１■ダ－ジオンはエネルギーを与えるほど加速するが、光速を超えることはない。質量は実数。ルクシオンは真空中を光速で移動する全ての素粒子。光子、ウィークボゾン、グルーオン。質量はゼロ。タキオンはどんなに減速しても光速以下にはならない。エネルギーを失えば失うほど加速する。質量は虚数。

■２■この世界は亜光速(ダ－ジオン)領域,光速(ルクシオン)領域,超光速(タキオン)領域に分けることができる。ルクシオン領域は亜光速と超光速の境界に過ぎないが、反転してこの境界領域の中に入れば全ては光だ。幾何学的に私を球に喩えれば、光速で点になり、超光速だと内外反転して球以外の全てになる。

　　

■３■反転とは既存の様々な２元２値的認識による概念をひっくり返してみる操作のことだ。内と外、前と後ろ、上と下、左と右、自己と他者、自分と環界、過去と未来、ネガとポジ、直交座標と極座標、内骨格と外骨格、双対立体、数とその逆数。反転をした上で、その全体を俯瞰して見える風景を共に見る。

■４■光速度の反転前後を見るためには、タージオン領域とタキオン領域を等距離に見ることができるルクシオン領域からの視座が必要となる。上図では速度の高低を左から右へと数直線的に表し、その上の反転界面上にルクシオン領域を布置してある。そこを垂直に鏡開いた空間から全体を見るという想定だ。

　　

■５■左半分が亜光速の領域であり、空間曲率がゼロになる中央の光速領域を示す垂線に対して速度が遅くなるほど空間曲率が大きくなるよう示してある。超光速領域の方は速度が大きくなるほど逆の曲率が大きくなっている。空間曲率と相対性理論とは直接連動するものではないので、あくまでも比喩である。

■６■空間曲率の反転と、光速領域通過前後の反転を重ね見ると、曲率が光速領域においてはゼロになる。また粒子は光速領域では無限大になり、超光速領域に入ると粒子と空間が反転して空間と粒子になる。逆に超光速で粒子だった空間は光速に近づくと無限大に近づき、亜光速領域では多重の空間になる。

■７■この比喩の構造を横滑りさせれば、個我意識は光速になると無限大に拡散してしまい、超光速領域に入ると個我と世界が反転して立ち現れ、自我だったものが無数の粒状の世界を包み込んでいるという構造になる。個我は多数なので、超光速領域では非常に多重になっている。世界はその逆の構造となる。

　　

■８■「帝釈天」の宮殿にかけられた巨大な球状の網は、全体が宇宙そのものを現しているとされる。その結び目には美しい水晶の宝珠が縫い込まれ、その宝珠の１つ１つがそれぞれ他の一切の宝珠を写し込んでいる。…『華厳経』の中にある「インドラの網」の喩えである。比喩ではなく比喩の構造の問題だ。

■９■ターディオン領域には複数の個我が存在するが、背景の場としての空間は実は１つではなく多数が重なっている。ルクシオン領域は個我と空間の関係が反転する界面領域である。タキオン領域は質量が虚数になる。多数の個我もしくは非個我意識の中に、複数の世界が平行宇宙のように多数存在している。

　　

■10■シンプルな比喩そのものの構造を表すものとして、「４値を導く中心の穴が点のトーラス」を提示しておこう。中心の１点は表裏も重なる特異点である。ここを通過する時、方向はそのままだとしても表側の２方向、裏側の２方向に進む選択肢が存在する。意識または世界の力線は垂直方向に進み続ける。

４の歌Ｅ第10曲　